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STORY 80

  最後の差し入れはカップラーメン

更新日:2008年5月10日


本作は脱獄モノ。
タイトルがいいですね。金子脚本はあらすじだけでなく、タイトリングも絶妙だと思います。
本作の見どころは、銭形警部のルパンに対する友情と苦悩。

【伏線】
冒頭の看守がシルバーに言った「もう二度とこんなところに来るんじゃないぞ」は、出所する時のお決まりのセリフ。
本作では、ラストの伏線にもなっています。

【シルバー爺さん】
お宝を独り占めしようとするくらいなので、ドケチです。
冒頭でシケモクを吸って、また火を消して懐にしまうという演出や、
ルパンのアジトの薦められた葉巻を多くとろうとしたりする演出が、
シルバーの吝嗇っぷりを上手く表現しています。
ちなみに、冒頭でシルバーが落とした紙袋を拾うルパンが紳士的で、管理人は大好きです。

【ルパンとシルバーの因縁】
8年前現金輸送車を襲ったルパンとシルバーのコンビ。
しかし土壇場でシルバーが裏切ってしまいます。
次元「裏切るのは女だけにしてほしいぜ」…さすが「女嫌いで売り出し中」(「花吹雪謎の五人衆」)だけのことはあるセリフ。
ルパンの追跡から逃れるために、ケチな銀行強盗の罪で刑務所に逃げたシルバー。
なんか、必殺人九郎(「五右ェ門の復讐」)みたいなヤツだなあ。

【相棒だからこそのお財布係・次元】
シルバーの万引きや飲み代の支払いを次元に押し付けるルパン。
次元は支払い係なんでしょうか?「二人五右衛門」でもそうだったし。
確かに、ルパンは坊ちゃん育ちでお金にルーズそうです。
五右ェ門も同じく坊ちゃん育ちだけど、本人は無駄遣いはしない代わりに、他人のお金の使い方にも厳しそうです。
不二子が他人の支払いを立て替えるわけがないし。
それで、次元がお財布係兼立て替え担当になっているんでしょうね。

【敵か味方か・峰不二子】
シルバー爺さんの「もう一人の仲間はどうした」という問いに、
次元「五右ェ門か?」実は、ゴエは見張っていたんですよね。
シルバー「女の方さ」
それを聞いて、酒を噴出すルパン。汗をかいて慌てています。
なんで?裏切られることが予想できるから?
そのとおり、催眠弾を投げ込まれてしまいました。
不二子とシルバーが手を組んでいたわけです。

【ルパン一味の切り札・五右ェ門】
しかし、ルパン達もやられっぱなしではありません。
ゴエがしっかり見張っていました。小刀に発信機をつけて投げます。
ゴエの小刀投げは「ターゲットは555M」でも披露しています。
原作の「ヤップ編」冒頭の次元との一騎打ち練習でも投げてましたね。
伊賀忍術の免許皆伝を受けているだけのことはあります。
高層エレベーターでゴエがあがると、次は三人が降りてくる。このシーン好きです。かわいい。
五右ェ門「他人を騙すやつに限って自分が騙されるとは考えないものだ」
そう、ルパン達はシルバーの行動も読んで動いていたわけです。

【刑務所へ】
シルバーが札束を埋めた場所には刑務所が建ってしまっていました。
それも世界中の刑務所のモデルとして立てられたような堅牢な建物です。
難しい、諦めるしかない、という仲間達の声をよそに、「正面から堂々ともぐりこんでがっぽり」とルパンらしい。

【銭形警部登場】
ルパンが刑務所に出頭したことを受けて、銭形警部がやってきました。
死刑囚専用のタワールームに収容と聞き、驚いて「裁判は?」と尋ねます。
司法手続きに言及してくれました!初期TVシリーズではちょくちょく司法手続きの存在が無視されてしまいます。 (「必殺鉄トカゲ見参」など)
所長いわく「ルパンの犯した罪は全て裁判にかけると一生かかっても終わらないので、大統領の特別許可をもらったとのこと。
電子レンジでチンするみたいな死刑です。
カップラーメンといい電子レンジといい、当 時普及し始めた日本のインスタントな食文化を反映しています。
(日進食品が「カップヌードル」販売したのが1971年。電子レンジが一般家庭に普及したのが1970年代後半~1980年代にかけてです。)
ルパンは必ず逃げる、と主張する銭形。
「あばよの男というか」…ルパンが「あばよ~」と言って逃げるってことです。いいですね、このキャッチフレーズ。

【仲間は裏切らない】
ルパンが札束を独り占めする気ではないかというシルバー。
五右ェ門「ルパンはお主とは違う」
このセリフ、「国境は別れの顔」で、次元を疑う不二子にもいいましたね。
ゴエのが本当にルパンと次元を信じきっているところが、伺えるシーンです。

【最後の差し入れ】
死刑当日。4月23日なのは放映日に合わせているのでしょう。このあたりで、リアルタイムで視聴した方はにやりとするんでしょうね。
銭形警部、刑務所長がルパンの元を訪れます。
このときの納谷さんの演技は、「さすが」の一言に尽きます。
銭形「何かのぞみはあるか?あるならわしから所長に頼んでやるぞ」
「とっつぁん、怒るもん」と、思わせぶりなルパン。
「おこらんと言ったらおこらん」と怒りかけながらいう銭形。とっつぁんらしいなあ。
そんな銭形に、散々もったいぶって「カップラーメン」というルパン。わざとやって、おちょくってますね。
怒りまくる銭形。なんで怒るの。カップラーメンを馬鹿にしちゃいけませんよ。いいじゃないですか。
「この国にはカップラーメンなんてない」という所長に「それがあるんですよ」と耳から電話番号のメモを出すルパン。
この時点で、もう少し怪しんだほうがいいのでは。

【カップラーメン】
さて、電話を応対する不二子。
「三世商店です」ってふざけてるとしか思えない。
カップラーメンのパッケージがカップスターっぽいですね。
とっつぁん、カップラーメンに胡椒を入れます。
当時はそういう食べ方をしたんですか?それとも、普通のラーメンに胡椒をふる感覚と一緒なのかな?

【銭形警部・ルパンへの愛と苦悩の時】
死刑執行のときがやってきました。
銭形「やつとは長年のよしみです。私にやらせてください」
汗を流しながら、処刑レバーを引く銭形。
そのあと、ルパンが処刑される映像を観ようともせずに、体を壁に何度もぶつけて感情を抑えようとするとっつぁん。
しかし、ルパンは風船人形にすり替わっていました。ルパンが逃げたことを知り喜ぶとっつぁん「やりおったなルパンめ」
「ルパンが逃げたぞ。大変だ」と白々しく言う。
先ほどとのギャップがたまりません。納谷さんのすばらしい演技をご堪能ください。
この一連のシーンは、銭形警部屈指の名シーンです。
警察官としての正義感と職業意識、そしてルパンへの熱い友情が合わさってこその銭形警部です。

【華麗にお宝奪取するものの…】
さて、ルパンは逃げたのではなく隠れていただけでした。
そしてカップラーメンに模した特製ロープ使って、銭形や所長を尻目に、タワーを降りていきます。
相変わらず、セカンドの脱獄劇は肩の力が抜けたコミカルさが持ち味です。
カップラーメンに見せかけたロープをキー・アイテムにするというアイデアが楽しいし、「コロンブスの卵」的発想ですね。
目印の大木を切り、グライダーに乗って札束を持ち出すことに成功。
が、最後の最後にルパンを裏切ろうとするシルバー。「札束をおろせ」とグライダーを振り回されてしまいます。
次元が銃でロープを切りますが、札束とグライダーが風にのって刑務所に逆戻り。
ルパンはグライダーから飛び降りますが、シルバーは札束を追って、刑務所に突っ込んでいきます。
ルパン「あそこの暮らしが性に合ってんでしょ」
冒頭で「二度と来るなよ」と言われた刑務所に、証拠品付きで自分から逆戻りすることになったのでした。

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