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Biblio 4

  アニメージュ1979年4月号 WIDE REPORTルパン三世

更新日:2008年9月1日


2nd総作画監督・北原健雄氏による峰不二子がカバーガール。この妖艶な瞳は北原氏の不二子にしか出せない魅力。色使いもモダンで、古さを感じさせなません。ハリウッド女優やスーパーモデルよりも、豪華なカバーガールです。

1979年4月、セカンドシリーズ放映時に、『アニメージュ』で特集された「ルパン」記事です。
1979年4月に放映された『ルパン三世』は以下のとおり。

77話 星占いでルパンを逮捕(1979年4月2日)
78話 ロボットの瞳にダイヤが光る(1979年4月9日)
79話 ルパン葬送曲(1979年4月16日)
80話 最後の差し入れはカップラーメン(1979年4月23日)
81話 不二子! 男はつらいぜ(1979年4月30日)

第67話「ルパンの大西遊記」が、30.5%の視聴率をマークしたのは1979年1月22日。
こちらの記事でも、視聴率30.5%についての言及がなされています。
この号では、原作者による「モンキーパンチのアメリカレポ ルパンの珍文汗文」、
山田康雄氏によるエッセイ「ルパンのつぶやき」も掲載。
(「ルパンのつぶやき」の挿絵は、モンキー・パンチ氏と、これまた豪華)
当時のアニメ界・映像界における「ルパン三世」の存在感と勢いを感じさせてくれます。
今回のビブリオでは、今までのビブリオのように小難しい話ではなく、当時の雰囲気を楽しむ記事にしたいと思います。

貴重なお話を語っていただいた、スタッフとキャストの各位、
および、貴重な記事を掲載していただいた「アニメージュ」スタッフに感謝の意を表します。
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【但し書き】
インタビューの中で、管理人が気づいた点、参考になった点だけを引用し、感想をつけさせていただいております。
引用部分は、全て原文ママで記載しております。
引用文は白で太字、管理人の感想は緑字となっております。
著作権の問題もありますので、全文掲載をする予定はありません。
もし、インタビュー全文をお読みになりたい方がいらっしゃいましたら、古書店もしくは国会図書館などでお探しになってください。
ちなみに、管理人は古書で購入。500円でした。

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  ルパン三世を取り巻くナゾの秘密集団


手前の髭の初老の男性が、かの鈴木清順氏。

「ルパン三世」の企画集団についての記事です。
企画集団のメンバーは以下のとおり。

高橋靖二:NTVプロデューサー
堀越 徹:NTV・AP
鈴木清順:監修
大和屋竺:シリーズ構成
御厨恭輔:演出
三家本泰美 :演出
飯岡順一:文芸担当
他、脚本家の方々

高橋靖二氏「ルパンを作るうえでいちばん苦しいのは、奇想天外な面白いアイデアをつぎつぎと生み出すことですね。
実は…これらのアイデアや、スピーディーなストーリ
ーや特異なゲスト・キャラなど、ルパン三世の魅力を考えるのは、一人のシナリオライターではなく、秘密企画集団があるんですよ。」

ルパンの魅力は「お宝を盗み出すプロセス」にあるのであって、「お宝が何か」ということはあまり関係がない、と管理人は考えています。
薀蓄たっぷりのお宝をひらめくこと比較的簡単ですが、盗みのプロセスを考え出すことは非常に難しい。
ここに、テレスペ以降の『ルパン三世』の限界があるのではないか、と思います。
高橋氏の発言は、管理人の考えを裏付けてくれるものではないでしょうか。
本サイトコラム「お宝は種切れなのか」で、このテーマについて言及しています)

この秘密企画集団こそが、ルパン三世を驚異の人気アニメ番組に作り上げた陰の演出者たちなのである。
この秘密集団を取材すべく、某マンションの一室を訪ねた。表札はただ―『ルパン三世』。

この表札のセンスはすごい。近隣住民の皆さんは、この表札を見て、どんな風に思っていたんでしょうか。
もし、自分の住んでいるマンションにこんな表札がでている部屋があったら、面白いというより引いてしまうかもしれません…。
まさか、制作関係者が使用していると思わないでしょうし。いっちゃった人が住んでいるのかなあと思ってしまうかも…。
事情が分かれば納得するでしょうけど、事情が知れ渡ると、「サインくれー」というファンもつめかけそうですしね。

高橋靖二氏「視聴率が30%を超えたけど、ここまできたらサザエさんを抜いて、ものすごい怪物番組にしたいね。」

2008年の感覚で言えば、「サザエさん」とは違うベクトルで、怪物番組になった『ルパン三世』。
まさかここまでの長寿番組になるとは、当時の制作者の方々も思わなかったのでしょうか。

鈴木清順氏「ルパン三世たちは、感受性の高い人間たちなんですが、映像としてどう表現するかです。ストーリーについては、ひねりがほしいですね。」

映像表現の巧みさは、現代のアニメでさえも追随を許さない完成度を誇る「ルパン三世2ndシリーズ」。
鈴木清順氏自ら監督を勤めたパースリ「悪のり変装曲」は、「ルパン」作品史上、最大の難解作と言われています。
管理人も、ルパンレビューサイト・マスターとして、いつか「悪のり変装曲」の感想を書きたいと思っています。

この企画集団は毎週2回集まり、シナリオ初稿をテッテイ的に討論して、直していく。
スサマジイ火花が散ることもあるし、アルコールが入って、“男の美学論”になることもしばしば…。

昨今のテレスペやOVAもこのような企画集団や、会議は存在しているのでしょうか。
「Mル」のあとがきマンガで、深山氏が関係者との会議を経て、マンガを描いていることを述べていました。
ということは、当然、映像作品も会議が行われているのでしょうが…。
近作の質を鑑みると、もう少し企画集団(もし、存在すればですが)にはがんばっていただきたいものです。

飯岡順一氏「この企画集団では、古今東西のピカレスク・ロマン(悪漢小説)はすべて読破しました。
ハメット、チャンドラー、ロス・マクドナルドなどの正統派ハードボイ
ルドも研究しています。
最近の作家では『悪党パーカー』のリチャード・スタークなんておもしろいですね。
そして、これらを整理分類して、ストーリー作りに役立てていま
す。
魅力的で個性的なゲスト・キャラも、すべてここで考え出したものです。
とにかく、アイデア、アイデア、アイデアで、毎日、ルパンのことしか考えていません」

ピカレスク・ロマンやハードボイルドからの影響を考慮して、ルパン作品郡をレビューすることは面白いかもしれませんね。
ハードボイルド小説とその波及については、小野俊太郎が詳しく論じています。
「ハードボイルドの技法」(『男女という制度』斉藤美奈子編/2001年/岩波書店所収)
「<男らしさ>の神話 変貌する「ハードボイルド」」(1999年/講談社選書メチエ)
「社会が惚れた男たち 日本ハードボイルド40年の軌跡」(2000年/河出書房新社)

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  アドリブもフリーパス スタッフ大爆笑!!


メイン5人を演じる声優陣のアテレコ風景。拝見すると、こみ上げてくるものがあります。

アドリブにより、作品の完成度が上がったエピソードをいくつか紹介している記事です。
管理人の好きなエピソードを抜粋しています。

☆ケース2(第69話「とっつぁんの惚れた女」)
ラストの部分、シナリオでは、
銭形「(急に振り返り)ルパン!明日からは、また貴様を追いかけるのだ。首を洗って待ってろよ!」
ルパン「(ニッと笑い)受けて立つぜ、とっつぁん。覚悟しな、コテンパンにしてやるからなっ!」
二人は不敵な笑いを浮かべ、見つめあった…。
これが、コンテとアフレコ台本では左図のように変更になった。長いセリフを短くして、絵のおもしろさで表現した。
(管理人補足:掲載されていた台本では、銭形のセリフの後、ルパンは「わ、わかったよ!」と言うのみに変更。
アニメージュ記事は、この変更は、ルパンが銭形の強いセリフにビビって逃げ出したかのように思えると指摘している)
ところが、山田さんは、
ルパン「はいはーい!さ~て、首をあらいにいこーっと!!」
実に、このセリフのタイミングが絵とピッタリと合っていて、
「わ、わかったよ!」の一言では中途半端だったラストがオチとしてピッタリと表現できたのである。

傑作として名高い「とっつぁんの惚れた女」。
ラストシーンも、2ndらしいシリアスさの中に、良いサジ加減でコミカルさが感じられる作品です。
シナリオ段階の「不敵な笑みを浮かべて見つめあうルパンと銭形」は、なんだかカッコつけすぎで、寒いです。
そして、コンテ段階では、アニメージュ記事も指摘しているように、ルパンが弱そうに感じます。
そこで、山田氏のアドリブで「首をあらいにいこーっと」(もちろん、「首を洗って待ってろよ」という慣用表現を受けてのセリフ)に変更されたことにより、
ルパンの余裕
が感じられ、作品世界にコミカルな味付けをすることに成功しています。

山田さんのアドリブのおもしろさは、どこからくるのか。演技としての計算があるのか?
山田「とんでもないっ。アドリブなんてものは、計算外の即興のおもしろさですよ。」
ところが、次元役の小林清志さんが後ろから声をはさんだ。
小林「いやいや、ちゃーんと計算してるよ、カレは。だまされちゃだめだよ。」
どちらが本当なのだろう?
わからないところが山田さんの絶妙なる演技力なのだろう。

管理人は、「計算している」に一票です。
山田氏のように頭脳明晰な人は、計算していることを感じさせないくらいの度量があるのだと思います。
それを見抜いて指摘している小林氏は、同じく頭脳明晰な名声優でいらっしゃるのだと思います。

録音監督・加藤敏氏「(略)アドリブはフリーパスで、大いにやってくれといっています。
テストのときなんか、アドリブだらけ。そこでふるいわけて、本番のときには、だいたい決まっていますね。」

2nd以降、「ルパン」全作品で録音監督を勤められる加藤氏。
「ルパン」作品の魅力には、「音」が占める割合が非常に大きいと思います。
カリスマ的なメイン・声優陣、アニメソングの域を超えた大野音楽…。
アニメ技術の発達した2008年においても、「ルパン三世」TVシリーズが充分に視聴に耐えうるのは、「動き」では現代アニメに劣る部分を、声優陣の演技力やBGMの質の高さと
使いどころの上手さが、それをフォローしてあまりあるからだと思います。
(「動き」も、宮崎駿氏の作品「カリオストロ」「アルバトロス」「さらば」では、現代アニメの水準を凌駕してるといってもいいでしょう。
そう考えると、本当に「ルパン三世」という作品は傑作なのだなあと思います)

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  ルパン三世の幻のシナリオを発見!!


8年前(1979年の8年前だから1971年)、ルパン三世劇場版用に書かれ、オクラ入りしたシナリオ4本のうち、
大和屋竺氏によるシナリオを、北原健雄氏の絵でイメージングした企画。
赤ん坊のルパンが見れるのが面白いです。
そして、魔術師・パイカルも登場する様子。
こんなおまけ企画にも、北原氏がイラストを描いている豪華さ。





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