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SPECIAL 13

  アルカトラズコネクション

更新日:2008年3月16日


【ストーリー】
原作でも人気の高い「サンフランシスコ」編を素材に、テレスペ流にアレンジ。
ケネディ大統領 暗殺事件」 と「ザ・ロック(アルカトラズ島) の閉鎖」という、現代史の暗部とも言える史実を盛り込み、
新解釈をほどこしたストーリーは、ハードボイルドミステリのような緊迫感が感じられます。
サンフランシスコ編を元ネタにした前作に、パースリ第1話「金塊はルパンを呼ぶ」があります。
ラスボスがスターモーではなく、テリーに変わったことで、一点だけ残念なことが。
スターモーが「インディアンの血」をひくため、子ども時代に社会的排斥を受けていた、というエピソードがなくなってしまいました。
社会的に排除を受けた当事者がそのルサンチマンを語る、というのは、ルパン全シリーズを通してもあまりなく、印象深かったため残念。

【作画】
綺麗な作画。大人っぽい雰囲気に合っていました。

【アクション】
ケーブルカー・ジャックはもう少し迫力を出してほしかった。
ケーブルカー・ジャックのエピソードを上手く脚本にはめ込んだと思いますが、アクションが不発で惜しいです。

【世界観】
骨太なストーリーが根元にある、どこか大人なイメージ。
「大人なルパンの世界観」としては高い完成度。

【OP&ED】
・OP
ジャズシンガーakikoとのコラボレート。アダルトで大胆なアレンジが、本作のイメージにあっています。
一味4人が、変装を解いて、いつものアイコン衣装に着替えて、一人ずつ合流していく流れは最高にカッコいい。

・ED
本作の隠れた目玉はED。ル次五不の私服姿が見られます。
みんなの服がダサすぎるのは、わざとなんだと思っています。

【ゲスト】
・テリー・クラウン警部補
原作では、スターモー警部の役どころを、テリーが演じます。
銭形の相棒として、登場するものの、実はラスボス。
スターモーと銭形は「相棒」という感じではなかったのですが、本作のテリーは「相棒」。
そのおかげで、原作「サンフランシスコ編」ではイマイチだった銭形警部の存在感が増しました。
テリーのモデルは「コロンボ刑事 」。 声優も、「コロンボ刑事」を演じる石田太郎氏。
このキャスティングが豪華で、気が利いていますよね。
『ルパン』のテレスペぐらいのネームバリューがなくては出来ないだろうし、『ルパン』らしい粋な配役だと思います。
アイドルとか、タレントとか、お笑い芸人とか人気の若手声優とかよりも、こういう配役をしてほしい…。
例えば、「名探偵ポアロ」をモデルにしたゲストに熊倉一雄氏とか、「ホームズ」をモデルにしたゲストに露口茂氏とか。
(ホームズは、シャーロック・ハウンドではなく、ジェレミー・ホームズの方です。名探偵ホームズなら広川太一郎さんなのですが…涙涙涙)。

・スーザン
ゲストヒロインなのかな?でもルパンとは絡まず。ゴエが騙されてしまう女でした。
原作では、スターモーの愛人でもあり、スターモーと敵であるルパンの間で揺れ動いたりと存在感があったのに、テレスペではあまり存在感なし。
原作のスーザンが好きなので、ちょっと寂しかったですが、本作はゲスト・ヒロイン不在を目指したのかなと思えば、それもまた良し。

ところで、本作のスーザン、かなり間抜けだなあと思いました。
ルパンの相棒であるゴエと次元を殺すつもりだったそうだけど、なぜよりによって、二人そろっているときに命を狙うのか?
一人ずつでも難しいのに、ふたり一緒に狙うって、はっきり言って無謀でしかない。(途中でハイエナが乱入してきたけど、偶然っぽいし。)
ゴエと逢引してるときに殺すチャンスなんて、何度もあったろうに。
それとも、色香でゴエに次元を殺すように仕向けるくらいすればよかったのでは?
それで、『ルパン』的に屈指の見せ場でもある、「次元vs五右ェ門の対決シーン」も描けるし、いいじゃないですか。
女への愛と、仲間への友情と、己の武士道に引き裂かれる五右ェ門、
目を覚ましてほしいけれど、目を覚ますことは、五右ェ門を残酷な現実に直面させることになるというジレンマに苦しむ次元。
もちろん、最後は二人で共闘してスーザンを倒すのです。(じゃないと話が進まない)
もし、そんな演出になっていたら、ゴエファンには黒歴史になっていた可能性も高いです。(既に黒歴史だ、という意見は置いといて)
しかし、セカンド「花吹雪 謎の五人衆」でゴエは、駄目衛門にまるめこまれて、ルパンを殺そうとしているんですよ。結局殺せなかったけど。
できれば、それくらいやっちゃってくれたほうが、女に騙されてあまり見せ場もないまま終わるより、ゴエにはよかったのでは?

【ルパン】
本作のルパンは大活躍。
下手にゲストヒロインに絡まず、お宝を奪うべく知略や変装術を駆使するカッコいいルパンです。
本当の狙いがケネディ暗殺の極秘資料だということを、ぎりぎりまで隠しているのもよい。
そして、資料を狙う理由が、かわいこちゃんのため、というオチもらしくていいです。
ところで、ルパンってSのつもりだったのか。
かわいこちゃん相手はどっちかって言うと、Mだと思う。不二子の相手してる様子とか見てると。
セクシャルな意味でなくて、男相手はドSですね。特にとっつぁんや次元、ゴエ相手はね。相手を振り回すことを楽しんでるもんなあ。

【次元】
本作では(でも?)一番の苦労人。
女にいれあげる相棒二人に振り回されて、本当に大変でした。
五右ェ門に対する態度が、そこそこ距離を置きつつ、しかし見守っているという感じでよかった。
「ルパン三世」(宮崎駿版)名物、「ルパンVS次元の飯合戦」を見せてくれました。
しかし、シーンとしては、「カリオストロ」や「アルバトロス」ほどの出来ではなかったのが残念ですね。
パースリでは、ケーブルカー・ジャックはゴエが担当したのですが、本作では、原作どおりに次元が担当しました。

【五右ェ門】
ゴエは上でかなり語ってしまったのですが…。
女に騙されましてました。それが全てでした。
しかも、ルパンの無事よりもお宝大事、不二子が行方不明と聞けば裏切ったのではないかと邪推(当たっている部分もあるのですが)、
女の裏切りに次元を巻き込んでしまう、と散々な有様。
次元に「拙者を愚弄するために来たわけではあるまい」と言っていたという事は、自分が愚かなことをしている自覚はあったのかな?
だったら、導師様に心酔していた(マネーウォーズ)より、ましかもしれませんね。
あ、それから、クルーザーを運転していたのが、新鮮でした。

【不二子】
ゲストヒロインが事実上不在だったのにもかかわらず、あまり出番はなし。
今回はルパン・銭形・テリーの回だったから仕方ない。
足手まといキャラでもなかったのでよしということでしょうか。
誘拐されつつも、データ分析を手伝ったり、あっさり寝返っているところも不二子節でよいです。
今回の名セリフ「女の二ヶ月って男より大切なのよ。二ヶ月あったら、いい男と出会って、恋して結婚できちゃうのよ」

【銭形】
今作の銭形警部は切れ者です。テリーがネコババしたことをすぐに気づくし、射撃の腕前も披露します。
ラスト、テリーに捕まりながらも、「俺ごと狙え!」「すまん、ルパン…」という銭形はかっこよすぎ。
最後は、自らの手でテリーを逮捕しました。
ルパンと銭形の共闘は、多くの作品で描かれていますが、本作の描き方が一番かっこいいし、物語としての整合性もあります。
1963年、と聞いて「ケネディ暗殺」よりも「カップラーメンが30円だったっけ」というとっつぁん。
このあたり、脚本の柏原氏はよく分かっていると思いました。
DVDのおまけに設定資料のキャラ対比表があるのですが、その対比表は、銭形とテリーを真ん中にして書かれているんですよ。
次元とかゴエは端っこにいるんです。こういうのって、普通は、メインが真ん中に描かれるんですよね。

【ル次五の仲間度】
ゴエが仲間よりお宝だったからねえ。ルパンもあまり次元やゴエと共闘しなかったし。
次元のおかげで、なんとか仲間の絆を感じることができました。
ルパンの無事よりも、お宝大事なゴエにいらだったり。
スーザンが死んだ後、ゴエの肩に手をおくところはいいやつだなあと思いました。
このシーンのあと、ルパンが二人を見つけるのですが、そのときの次元と五右ェ門がいい表情をしているのです。

【総合】
『ルパン三世』という作品は、キャラクターを立たせることで物語が動く作品である、というのが管理人の持論です。
そのタイプの傑作は、近作では「ファーストコンタクト」、セカンドでは「国境は別れの顔」「五右ェ門危機一髪」等 があげられます。
しかし、本作は、物語がルパン達を動かした作品である、と同時に、それが成功した数少ない作品例だと思います。

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