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SPECIAL 4

  ロシアより愛をこめて

更新日:2008年5月19日


【ストーリー】
1991年12月25日にゴルバチョフ書記長の辞任を受けて成立したソ連邦の解体という当時の社会情勢と、
ロマノフ王朝の末裔とその隠し財産という近代史のミステリーを盛り込んだ物語。
設定的には、かなり管理人好みだったのですが、あまり見せ場もなく終わってしまった印象。
ロマノフ王朝の隠し財産とアナスタシア皇女の末裔を用いた作品としては、1991年5月に出版された麻耶雄嵩『 翼ある闇』が傑作です。
本作と『翼ある闇』を比較するのが麻耶雄嵩氏に失礼なくらい、本作の出来はグダグダでした。
(『翼ある闇』が傑作すぎる、というのもありますが)

【作画】
『バイリバ』から続くマモーリスペクトな作画。
出崎演出とでも言うのでしょうか、止め絵の連発はあまり魅力を感じません。
前作『ナポレオン』よりは綺麗になっていたので良かった。

【アクション】
ほとんど見どころ無し…。
止め絵演出が入ると、どうしてもアクションの見ごたえが薄れてしまうと思います。

【世界観】
初期テレスペルパン(出崎作品)独特の、歴史的要素を盛り込みつつ当時の社会情勢を反映した世界観。
オーソドックスなルパンワールドって感じで好きです。

【OP&ED】
NY市立図書館での、ルパン&次元と銭形警部の追いかけっこ。
カーチェイスではないのが、珍しいですね。
アクションのキレがないので、冗長な感じがするのが残念。

【ゲスト】
ジュディ…あまりインパクトのないゲストヒロイン。
不二子をも裏切り、ルパン&ゴエも手玉にとるしたたかさはなかなかのもの。
ですが、不二子がこんな小娘に遅れを取ったり、ルパンとゴエがこんな小娘にあっさり惚れてしまったりするかなあとも思います。
「祖国のために金塊を使いたい」というジュディの額にキスをして全てを許すルパン、というシーンは『カリオストロ』オマージュなんでしょうか。

ラスプートン…典型的な悪役ボスキャラ。あまり印象無し。

ラッキー…本作で一番好きなゲストキャラ。
中々の切れ者でもあり、友人のビックマウス・ジョーの仇を討とうとする情の厚いところもある好漢。
キャラデザが雑魚キャラ風だったのですが、扱いのよいゲストでした。次元とラッキーの友情は隠れた名エピソード。

【ルパン】
不二子に出し抜かれたように見せかけて、ちゃんと発信機をつけていたりと、ルパンらしさはありました。
ラスト、頭を空っぽにして「ルパン三世のテーマ」を口笛で吹きながら、ラスプートンとのバトルに挑んだルパンは良かったです。
力仕事を一人でがんばるルパンもいい感じ。
でも、不二子よりもジュディに思い入れがあるようなルパンはちょっと…。

【次元】
いつも通り、ルパンの相棒として頼れる次元でした。
次元はどの作品でも、安定して描かれますよね。
ラッキーとの友情は良かったです。面倒見のよい切れ者同士で、通じる部分があったのでしょうか。

【五右ェ門】
ラスプートンごときに、あっさり斬鉄剣を盗られる時点で駄目。
しかも、それを自力で見つけ出せない時点でさらに駄目。
あげく、最後はルパン・次元・不二子とではなく、ジュディと一緒にいるのが論外です。
ラスプートンの目を欺くために、「ルパン、次元、ここはやられたふりをしてくれ」「理由は後で電話する」と言ってるシーンは笑いを誘いました。
しかし、ラスプートンはテレパシーを使えるので、そんな茶番劇はお見通しなのではないのでしょうか?
このあたり、設定が破綻しているような…。
それとも、ラスプートンはわざと五右ェ門を泳がしていたんでしょうか?

【不二子】
前もってジュディと手を組んでルパンの裏をかこうとしたり、不二子らしいシーンもありました。
しかし、ジュディにしてやられるほど不二子は甘くないと思います。
ルパンが不二子よりもジュディを大事にしていたので、ヒロインらしさが損なわれていたのが残念。

【銭形】
『ヘミングウェイ』『霧のエリューシヴ』ほどではありませんが、本作でもほとんど必要のないポジション…。
これだったら、無理に銭形警部を出さないほうがいいのでは。

【ル次五の仲間度】
ラストで、ゴエがル次不と共に去るのではなく、ジュディと共に残るというのが納得いきません。
五右ェ門は、ルパン一味じゃないのか!
ゴエが「理由はあとで電話する」というので、いったんやられたふりをするルパン&次元に信頼関係が垣間見られたのが嬉しかったです。

【総合】
テレスペ第1作『バイリバ』以降、4 作続いた出崎統作品も本作で一区切り。
テレスペ第7作目の『ハリマオ』で再び出崎監督が登板します。

ストーリー的にも見せ場がなく、アクションも不発。
メインキャラ5人を上手く生かせてない、というのが致命的すぎます。
管理人としては、5人の魅力と関係性さえ外さなければ、楽しめるので残念でなりません。

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