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STORY 112

  五右ェ門危機一髪

更新日:2008年3月2日


・五右ェ門メイン回。名高い傑作の一つ。原作の元ネタは「 盗怪道五十三次」。
本作の感想は、原作との比較も盛り込みつつおこないたいと思います。

・温泉につかりながら「あ、そーれ、わーい、えむ、しー、え」と 歌う五右ェ門。
…音痴なのね。
このシーンだけでなく、シリアスな本筋にコミカルなシーンを挿入して、作品に軽妙な味付けをしています。
この辺の力の抜き加減がセカンドシリーズは上手いですよね。
セカンドシリーズが世代を超えて多くのファンに愛されて続けているのは、
シリアスとコミカルの絶妙なさじ加減によるところが大きいのではないでしょうか。

・不二子ちゃん人形と入浴中のルパン
寂しすぎる…。お手製なんだろうな。
でも、ルパンはいたって幸せそうで、微笑ましい。

・次元のメタなセリフ「おまえこそ、お 茶の間の皆さんに失礼だと思わんか」
五右ェ門がふんどしを置いて行方知れずになったことを笑うルパンに対して。
セカンドってたまーにこういうメタなセリフが出てきますよね。「名探偵空をゆく」とか「星占いでルパンを逮捕」とか。

・五右ェ門の遺留品であるふんどしを見たルパンの「あいつ、風 邪ひかなきゃいいが…」
山田さんが真面目な声で演技されているので、本心から心配したセリフなんでしょうが、笑うところなのか迷うシーン。
というか、遺留品がふんどしっていう時点で、ふざけてるのか真面目なのか分からない。

・銭形警部の独り言日誌。
笑い無しには見れない。とっつぁんは『ルパン』の良心。

・「蛍の光」
銭形へのメッセージテープで、ルパンが蛍の光を歌っています。
「毎度ご来店ありがとうございます~。またのご来店をこころよりお待ちしておりま~す」
こんなメッセージを残して逃げる泥棒はルパンだけ。

・「仲間を売るような真似をするくらいなら、喜んで死ぬ」ゴ エの名セリフ。
原作にはありません。金子さんが書かれたのでしょう。
ゴエのセリフとしてよく知られている「またつまらぬものを斬ってしまった」「武士道は死ぬことと見つけたり(『葉隠』からの引用)」より、
いいセリフだと思います。
五右ェ門の仲間思いなところと、実直な性格が出ています。
ルパンや次元だったら、もっと違う洒落た表現をしたと思う。飾り気の無いセリフがゴエらしい。

・ゴエを拷問する敵が原作ではネズミ一族だったのが、ア ニメではウルフ&ローズの売り出し中の殺し屋コンビに。
ウルフ&ローズのキャラ立ちもなかなか。ゴエを拷問したことで(ルパンファン、特にゴエファンの間で)有名人になりました。
ウルフとローズの関係も、意味深。
ゴエがウルフに「おぬしの弱点はあの女のようだな」
ゴエってこういうこと、気づけるくらいには、男女の機微に通じているのか。
ちなみに、ウルフ役は『名探偵ポアロ』のジャップ警部役・坂口芳貞氏。

・五右ェ門を助け出すルパン。感動のシーン。
原作とアニメでは、若干異なった演出になっています。
どちらも甲乙つけがたい、というファンの方も多いのではないでしょうか。
漫画(原作)とアニメ、それぞれのメディアの持つ特長を生かした演出になっています。

原作では、ルパンがだまってゴエを抱きしめる。
静止画である漫画。セリフ(ふきだし)なしで、絵だけで強い印象を読者に与えます。
セリフ(文章)で表現するのではなく、絵で表現しようとする、モンキー・パンチ氏の漫画家としての技量に感嘆します。

アニメでは、ルパンが泣くのをこらえた声で「お前はバカヤロウだ」 と言い、ゴエの頭をなでさする。
動画であるアニメでは、動きを取り入れています。
また、原作ではなかったルパンと五右ェ門のやりとり。
ルパン「俺のせいでこんなになっちまって…」
ゴエ「仲間を売るくらいなら、喜んで死ぬ」
ルパン「お前ってやつは、本当に大バカヤロウだよ…」
このルパンとゴエのやりとりは、声優陣の名演技によって、場面をより感動的にします。
山田康雄氏、井上真樹夫氏のカリスマ的な声を生かさない手はありません。

・五右ェ門とウルフの決闘と決着。
この部分が、原作とアニメでは異なります。
これは、原作とアニメでは、テーマとしたものが異なるためである、と管理人は推察します。
原作で描こうとしたテーマは、「三人の友情の物語」。
アニメで描こうとしたテーマは、「男・五右ェ門の物語」。

まず、原作からみていきましょう。
原作ではアニメよりも「友情」という言葉が敵方であるネズミから多くでています。
「友情」という言葉をルパン一味三人は一切使わず、敵方のみに語らせることにより、
三人の「友情」が安っぽいものではなく、粋なものに感じさせます。
ルパンへの友情のため、拷問をうける五右ェ門。
ネズミ「立派だよ。友情とはかくありたいものだ」
剣士の命である両腕を焼きゴテで焼かれながらも、口を割らないゴエ。
そんなゴエに、ネズミは、ルパンと女の濡れ場の中継画像を見せて、こういいます。
ネズミ「お前はルパンに友情を誓っているが、ヤツのほうじゃお前のことなど頭にねェようだぜ」
白状薬をうっても効き目がない。ネズミがとどめを刺そうとするとき、助けに来るルパン。
ネズミ「うらやましい…友情…いい言葉だ」
ルパンが止めるものの、五右ェ門はネズミと自分自身で決着をつけることを望みます。
ネズミはアニメとは違い、最初から武器は剣を使用しています。
五右ェ門が口で抜いた居合いが、ネズミの喉を突き刺し、決着が着きます。
ネズミ「俺が…勝ってた。ヤツに助っ人さえ、いなかったら!!次元!!」
銃をかまえる次元。銃口からは、煙が出ています。
次元の撃った弾が、ネズミの剣と鞘を止めてしまい、ネズミは剣を抜くことが出来なかったのです。
ルパンへの友情ゆえ拷問に耐え続けた五右ェ門。
そんな五右ェ門のピンチに助けに来るルパン。
そして、最後の最後で、五右ェ門の助太刀をする次元。
かように、原作では、三人の友情の物語となっているわけです。
原作のタイトルは、「右ェ門+三世、元の怪盗道」のアナグラムではないでしょうか?

アニメでは、前述のとおり、「男・五右ェ門の物語」と して描かれています。
冒頭の、五右ェ門とウルフの邂逅のシーン。
このシーンで、両者はお互いに並々ならぬ使い手であることを感じ取ります。
弱点である「女性(の裸)」を利用され、捕まってしまった五右ェ門。
そして、ウルフとローズから残酷な拷問を受けます。
減らず口をたたきながら、口を割ることはありません。
そして、助けにきたルパンとの感動的なやりとり。
最後は、誰の手も借りず、一人でウルフを倒します。
友情に厚く、女性が苦手で、優れた剣の使い手である五右ェ門を描いています。
最後に、次元が手助けをしてしまったら、美味しいところを次元がもっていってしまったように、視聴者に思われることを考慮したのでしょうか。

・ゴエ「ルパンの弱点とは毛が三本足りないこと」
つまり、おサルさんってことですね。アニメのラストはお笑いオチ。
朝日の中、ルパンが五右ェ門をおんぶして、次元は斬鉄剣を持って、三人で仲良く帰ります。
ルパンと次元の声が、いつもよりご機嫌に聞こえるのは、管理人の気のせいでしょうか。

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