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STORY 99

  荒野に散ったコンバット・マグナム

更新日:2008年8月9日


次元メイン回。次元の魅力とガン・ア クションを堪能できる作品です。
また、次元の決闘を通じて、ルパンと次元、次元と五右ェ門の関係性もうかがえる一作。
セカンドシリーズ全155話のみならず、「ルパン」全作品郡の中でも屈指の傑作の一つです。

【原作ネタ】
本作は、原作新ル「ウエスタン次元」が元ネタ。
原作をそのままアニメーションにするのではなく、TV版独自のアレンジを施してあります。
最も大きな変更点の一つは、原作で登場したゲストキャラ・レッディが、アニメでは登場しない点です。
レッディは、次元を「大介」とファーストネームで呼び、次元にご執心な奔放で情熱的な女性。
ファンの間でも人気の高いゲストキャラです。

【ハードボイルドなのか、シュールギャグなのか】
セカンドシリーズのシリーズ構成を担当した大和屋竺氏脚本ということもあり、タイトリングも絶妙です。
「ハードボイルドでどこか悲劇的なタイトルだなあ」と思いきや、本当にマグナム(のパーツ)が散っているなんて。あまりにもシュールです。
この展開は、原作者であるモンキー・パンチ氏の偉大さを感じます。
そして、その原作を見事にアニメーションに昇華したテレビスタッフ陣も見事です。

【強敵との死闘】
セカンドシリーズでは、次元だけでなく、ルパン、五右ェ門も、それぞれ強敵との戦いをテーマにした話があります。
相棒が命をかけて闘うことになったとき、二人の相棒はそれぞれどのように振舞うのでしょうか。
ルパンの時の次元と五右ェ門。次元の時のルパンと五右ェ門。五右ェ門の時のルパンと次元。
強敵とのガチバトルだけに注目するのではなく、危機的状況における仲間の絆が描かれるのが、この手の話の魅力の一つでもあります。
今回の感想は、特にこの点に注目して進めたいと思います。

【ルパンミュージックを鳴らせ】
本作はテレビ用アニメーションとしては、日本発のステレオ放送がなされました。
79OPには効果音が付いています。
また、作品導入部分では「ルパン音頭」のアレンジ、冒頭のカーチェースでは「スーパーヒーロー」、次元の回想シーンや決闘シーンでは「トルネード」と、「ルパン」の名曲が効果的に挿入され、作 品世界を盛り上げています。

【花も嵐もカーチェース】
冒頭、スーパーヒーローをBGMに、ルパンと銭形警部のカーチェースが繰り広げられます。
冒頭でカーチェース→タイトルコール、という流れは、今やテレスペでおなじみの演出。
このカーアクションの動きもすばらしく、見ごたえたっぷり。
かっこいいだけでなく、セカンドルパンらしくコミカルなカーチェースです。
スイッチバッグ作戦…ハンドルを後部に移し変えて走らせます。その後、黄色い車の塗料を剥がして、青い車に偽装。
ルパンと次元も変装します。ルパンの変装は無難な変装なのですが、次元は髭も隠さず、変装というよりはイメチェンレベル…。
次元の変装に気づけきなさいよ、とっつぁん。
後で「よくも、この銭形を虚仮に」と悔しがりますが、それはあなたのミスでしょうと突っ込みたいところです。
無事に銭形を撒いて、運転するルパンにタバコを吸わせてあげる次元。二人の余裕を感じさせる演出です。

【ルパンと五右ェ門、そして次元】
下水道を徒歩で逃走中のルパンと次元。そこにワニが襲い掛かってきます。って、下水道にワニって生息しているの?
ワニを撃ち殺した男・ストーンマンが登場。ストーンマンは、モンキー顔(=ルパン)ではなく次元に用事があるとのこと。
ストーンマン「5年前、レオンヒル、これだけ言えば思い出すだろう」「果し合いのやり直しをしようってんだ」
そこに、なぜか現れる五右ェ門「あの男、拙者が斬る」
次元「待て、五右ェ門、こいつは俺だけの闘いだ。手を出すんじゃねえぞ」
「射殺命令」ではルパンの代わりにビューティーとの死闘を演じ、「五右ェ門の復讐」では、焦るゴエの精神的フォローをしたり、ゴエのピンチにはマグナムを抜こうとするなど、相 棒を手助けする次元

しかし、自分の場合は、あまり手出しをされたくない様子です。それはルパンもゴエも同じなので、似たもの3人組とも言えるのですが。

舞台はアジトへ。「トルネード」をBGMに、銃 を解体して整備しながら、回想する次元。
かつて、ストーンマンは次元を倒して売り出すつもりで、決闘をすることに。
しかし、次元はおんぼろ車で行ったため、車がエンストし、遅刻してしまいます。
次元が約束の場所にたどり着いた時には、約束の時間はとっくにすぎており、ストーンマンの姿もなく…。
そして、岩に次元の顔が銃弾で彫り付けてあったのです。…次元の顔がシンプルでよかったね。ストーンマンは漫画的センスもあると思います。
しかし、命拾いをしたのはストーンマンの方、その頃は次元の方が実力が上だったのですから。次元いわく「今の実力は五分」だそうです。
ゴエ「拙者、介添え役を引き受けよう」
次元「断る」とさらっといなします。
そんな二人をよそ目に、ワニ革バックを手作りするルパン。器用だなあ。
世界でたった一枚の金貨を入れてやると大はしゃぎ。そんなルパンを、毒気を抜かれた様子で見る次元とゴエ。

この一連のシーンで、「次元の決闘」に 対するルパンと五右ェ門の対応は大きく異なっています。
ゴエは、次元の命を狙うストーンマンが登場するやいなや、すぐに「斬る」と言い出します。
また、介添え役を引き受けると言い出し、なんとかして次元の危機を手助けしようと必死になっていることが伝わります。
他方で、ルパンは、次元の過去話を聞いているのかいないのか、マイペースに振舞っています。
次元の実力を良く知っているからこそ、次元の意志を尊重し放任主義であるルパン。
義理堅く、仲間の危機を自らの手で回避しようとする五右ェ門。
どちらがより次元を理解している、次元との絆が深い、と比較すべきことではありません。
ルパンなりの、そして五右ェ門なりの次元への接し方の違いによるものなのだと思います。

【ブランコ公国に潜入せよ】
今回のお宝はカルタゴの猛将・ハンニバルがピレネー越えの際に隠したとされる財宝。
ルパン達は、お宝を目指して、ブランコ公国にセスナで移動します。
フランス空軍の協力で、ル次五を追う銭形警部。
ワイヤー?を使ってルパンのセスナを捕縛します。「このまましょっぴいて帰るとするか」
そんなことでルパンが逮捕できれば、苦労はないでしょう。空中技を披露しつつゴエが、あっさりとワイヤーを斬ります。
パイロットにもう一度やれ、という銭形。しかし、フランス空軍のパイロットはブランコ公国国境内に近づいているため、拒否します。
そこで、「言うとおりにせんと、撃つぞ」って無茶苦茶なとっつぁん。
パイロットも然る者で「了解」と言い、警部を椅子ごと空中に投げ飛ばします。パイロットのやり口は乱暴だけど、これは銭形警部も悪いですよ。
ルパンたちも、ブランコ公国の国境にさしかかると、ミサイル攻撃を受け、セスナを乗り捨てパラシュートで降下します。
ル次五は無事に着地しますが、お約束パターンで銭形は、木に引っかかってしまいます。
迎えにきた不二子の自動車に乗るル次五の3人。
この時、ルパンが不二子の座席の背もたれに腕を回しているしぐさが、ルパンらしくていいです。

【五右ェ門と仲間と斬鉄剣と】
ブランコ公国総統のパレード中。バーで、ストーンマンに直談判中の五右ェ門。
ゴエ「おぬしの胸中、分からぬでもないが、何も言わずに拙者と立ち会う気はないか」
五右ェ門は、次元の身代わりとなってストーンマンと決闘するつもりの様子。
しかし、そんなゴエを相手にしないストーンマン「引っ込んでな、小僧」
その言葉尻を捕らえ、ゴエ「小僧といったな、それで充分理由がたった、さあ抜け!」
この場面、ゴエは「小僧」と呼ばれたことに、本気で憤慨したわけではないでしょう。
ストーンマンを自分との闘いに引き出す理由があれば何でも良く、おそらく「因縁をつけた」だけだったのだと思います。
そして、ゴエが「因縁をつけているだけ」であることをストーンマンも理解しており、全く相手にしていません。
そこにやってきた次元が「今頃、辻斬りは流行らないぜ、さあ行こう」と五右ェ門を連れ出します。
このシーンは五右ェ門の次元を助けたいと思う義理堅さと、若さがうかがえるシーンです。
ゴエは、「ルパンは二度死ぬ」でもそうでしたが、相棒の敵を自ら斬ろうとします。
テレスペでは「修行>仲間」、ひどいときは「女>修行>仲間」なキャラ付けをされてしまう五右ェ門ですが、
セカンドでは、仲間を大切にし、そのことを不器用ながらもきちんと表現でき
る人物として描かれています。
そして、そんな血気盛んなゴエを諭すように振舞う次元は、面倒見のよい兄貴のようで見ていて微笑ましいです。
ゴエも、次元の言うことにはあまり反論せずに、素直に従うようですね。

【変装はルパンにまかせろ】
ブランコ公国総統が肌身離さず持ち歩いている懐中時計にお目当ての金貨が入っていると睨み、シーソー秘密警察長官に変装して、あっさり盗み出すルパン。
ブランコにシーソーって、公園ネタのネーミングですね。この遊び心が楽しいです。
次元はお付の軍人に変装しています。「次元に男心の優しさをみた」でもそうでしたが、次元は軍服がよく似合いますね。
そこへ、秘密警察に連行されて銭形警部がやってきます。
ブランコ公国では、不法入国は死刑。しかし、ルパン(@シーソー秘密警察長官に変装中)は、「おしりぺんぺんの刑にせよ」。
警部の身の安全を守ったとは言え、相変わらずとっつぁんで遊ぶことが好きなルパンです。

【ハンニバルの大いなる遺産】
アジトで、金貨を調べるルパン。ルパン曰く、「世界でたった一枚しかない貨幣なんて、何の役にも立たない」。
では、なぜ一枚しかない金貨をハンニバルは作ったのか…。
不二子とそんなやりとりをしてるルパンに対し、ゴエが「金貨が何だと言うのだ。お主の相棒が明日、果し合いをするというのに」
このシーン、「マモー」で、ゴエが次元にルパンへの接し方へ意見したシーンに少し似ているように思えます。
ルパンと次元に対し、どこか一歩引いた部分のある五右ェ門。
それは、一人だけ年齢的にも若いということや、仲間になった経緯、節度のある接し方を良しとする武士道など、様々な要因によるものだと思います。
しかし、どうしても納得が行かない時、特に今回のように仲間の命が関わるときに関しては、二人のやり方に意見します。
そんなゴエに対し、ルパンは「次元なら大丈夫、早撃ち0.7秒の男だから」と相変わらずの放任主義。
「五右ェ門の復讐」「二人五右ェ門」でのゴエに対しては、過保護ぶりを発揮していたことに対し、次元に関しては放任主義を貫く様子です。
「復讐はルパンにまかせろ」では、次元のために奮闘していましたが、この時の次元は怪我を負っていたということもあるのかもしれません。
ちなみに「0.7秒」はあまりにも有名な山田康雄氏の言い間違いです。本当は次元の早撃ちは0.3秒。
ルパン「さあ、五右ェ門、やってくれ」と金貨を差し出すルパン。
金貨を綺麗に真っ二つにするゴエ。そうすると、地図が出てきました。ここにハンニバルの財宝が隠されているのです。

【レオンヒル、午後3時】
翌日、財宝の発掘に行く途中で車を降りる次元。
ルパン「勝手にしろ、そんなに穴掘り嫌なのかよ」
決闘に赴く次元を案じる言葉をストレートに言わずに悪口めいた言い方なのが、気が利いていますね。
午後1時30分には待機する次元、午後3時が待ち合わせなので、随分前から待つことにした様子。
前回の遅刻に対する誠意を見せているのでしょうか。このあたりは次元らしい義理堅さを感じます。
そして、午後3時直前には、ルパン達がお宝を持って戻ってきました。
すぐに終わるから、先に行け、という次元。
お宝で片をつけようとするルパン。ストーンマンを「スットコトンマ」と呼びます。小ばかにした呼び方がルパンらしい。
そこへ、ヘリからミサイル攻撃。どうやらブランコもシーソーも気づいた様子です。
仕方なく、次元をおいて自動車を走らせるルパン。
不二子「次元は国境までの道、知らないんでしょ」
ルパン「ああ、それがどうしたよ」

【国境までの道しるべ】
時計台が3時を告げます。
次元がいつものように、ベルトに差し込んでいるマグナムを抜こうとすると、なんとそこにはルパンのメッセージが書かれた石が…
「ハジキはもらった。国境までの道しるべを残しておく」…えーっ!!
なんとルパンは次元のマグナムを解体した部品を「パンくず」にしたのです。
それを回収しながら、マグナムを組み立てる次元。
ここからは、見事なアクションシーン。30年前のTVアニメとは思えないほど良く動きます。
本作の次元は前髪ありとオールバックが混在していますが、この辺の作画ミスもご愛嬌と見過ごせるほどアクションがすばらしい。
帽子をストーンマンに弾かれると、次元はちゃんと帽子を回収しようとします。こんな非常時なのに、余裕があるとも言えます…。
不二子「あなたって、随分薄情なのね」
ルパン「あいつなら大丈夫だ。ハジキを組み立てるくらい、目を瞑ってたってやれる男さ」
ここに来て、先ほどまでの放任主義を撤回し、次元の決闘にとんでもないちょっかいを出すルパン…。
とは言え、悪意ではなく、ルパンの次元のガンマンとしての信頼に裏打ちされた発言と行動だと言えます。
しかし、次元はやはり困惑している様子で、相棒への悪態をついています。
次元「ばら撒いていくならよ、お宝の方だって良かったんじゃねえのかよ、ええ、ルパン」
そう思います。でも、それだと展開として面白くないんですよ。
そして、そんなルパンの無茶な振る舞いもなんだかんだと受け入れてしまっている次元。
なんとか、部品を回収し、後一つ(ドラムシリンダー)で完成というところで、ストーンマンが状況に気づき、ドラムを撃って次元を追いつめます。
そこで、ルパンがワルサーではじき返し、援護します。最後の最後で、次元の手助けをするルパン。
(しかし、ここまで次元が追いつめられたのは、そもそもルパンの仕業だとも言えるのですが…。)
空中でドラムをつかみ、組み立て、銃を撃つ次元。このシーンは本当に見事です。
そして、次元は一発でストーンマンを倒しました…。
ストーンマン、あれだけ銃を撃っても次元に勝てなかったということは、たいしたことない腕前だったのでは?

【国境はどんな顔?】
しかし、まだ喜びに浸るのは早い。国境を超えなければいけません。
閉まる門をギリギリで突破しようとするルパン。ここでも盛り上がりを見せます。
しかし、後部座席が門に挟まってしまいました。そこをゴエが斬鉄剣で居合い斬りします。
ところが、なぜかゴエは後部座席を斬ってしまい、お宝は全てブランコ公国内に。
どうして、門ではなく自動車を斬ったんでしょう。ゴエと斬鉄剣なら門を斬ることくらい造作もないでしょうに。
後輪を失った自動車は、バランスを崩して後ろ倒しの姿勢のまま、前輪のみで走っていくしかありません…。
夕焼けのなか、ボンネットに乗った次元のナビゲーションで、ルパンたちは走っていきました。
ここまでのハラハラする展開してから一変、最後はコミカルなオチで〆ます。
このラストはセカンドルパンらしく肩の力が抜けた演出で、後味がよく楽しくなります。

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