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STORY 82

  とっつあん人質救出作戦

更新日:2008年6月15日


本作の最大の見所は、ルパンと銭形警部の友情。
そして、銭形警部救出のために、ルパンと行動を共にする次元と五右ェ門。
セカンド・ルパンファミリーの絆をコミカルに描いた作品です。

【パリICPO本部襲撃事件】
パリICPO本部に、テロ集団が来襲。
目的は、逮捕されている首領のナポレオン11世の解放。
ICPOを代表して交渉に来た銭形警部が、逆に人質になってしまいます。
銭形「来ないなら、わしのほうからいくぞ」
カッコいいことを言って、こてんぱんに…。
銭形「わしは能力を過信しすぎたみたい」
事件を報道するニュースのナレーションとBGMが、古き良き往時を偲ばせてくれます。

【不二子ファッション】
アジトで、ニュースを見るルパン、次元、五右ェ門、不二子。
そんな不二子のファッションは、なんと見せブラ。
黄色のアメリカンスリーブシャツから、ショッキングピンクのブラ紐が見えています。
1979年当時、「見せブラ」というおしゃれの概念が既にあったのでしょうか?
不二子がやると、「だらしない」ではなく、おしゃれに見えますね。

【馴れ合いもここまでくるとご立派だわ】
銭形警部が拉致されたニュースを聞いて、
ルパン「鍵のかかっている金庫から盗んでもつまらない」「とっつぁんに追われていないと、一味ちがうんだよな」
ルパンが銭形警部を助けようと考えていること聞いて、驚く次元と不二子。
不二子は、なぜ泥棒が警察官を助けなくてはならないのだと降ります。理にかなった選択肢でしょう。
ゴエ「拙者はルパンと行動を共にしよう」
人情家で義理に厚い五右ェ門は、即座に同意します。
次元は、サイコロの目が奇数が出たらのるとのこと。
そして出たサイコロの目は…ゴエ「シッピンの半」、ゴエらしい言い方ですね。
しかし、サイコロが一つは奇数の目ばかり、もう一つは偶数の目ばかりであることを、不二子が見抜きます。
不二子「馴れ合いもここまで来るとご立派だわ」
そう!そのとおり。ルパンファミリーはそんなところが身上です。

【ルパン一味、ICPO本部に自首?】
というわけで、ICPOに自首するルパン、次元、五右ェ門。
もちろん、本気で自首しているのではなく、一旦ICPO内部に入り込んで、ナポレオン11世を奪取することが目的です。
ICPOに自動車で乗り込んできたとき、ル次五が名乗りを上げるのですが、ここの三回パンする演出はくどいです。
後に出てくる、とっつぁんが「男の中の男!」というシーンのアップ2回といい、セカンド・ルパンらしからぬ「アニメチック」な演出が散見されます。
セカンド・ルパンは、実写の撮影アングルを取り入れた絵コンテを組むなど、スタイリッシュでモダンな演出が売りです。
なのに、どうして本作はこんな演出スタイルだったんでしょうか。

【檻とヤスリとラ・マルセイエーズ】
希望通り、牢屋に入れられる3人。
いきなり投獄ってどうなんだ?「ルパン」での司法手続きの描写は、本当にいい加減です。
そもそも、ICPOの本部に、牢獄がある時点で間違っています・・・。
それは、さておき、牢屋(檻?)に閉じ込められ、地下牢に下ろされるときのル次五のしぐさの違いにご注目ください。
3人それぞれが「らしい」しぐさをしているのが、ファンには嬉しい演出です。
ルパン…柵を持って前かがみでキョロキョロ→好奇心があって落ち着きがない様子が伝わります。
次元…柵に持たれかかっている→だらしなく振舞う次元らしい。
五右ェ門…真っ直ぐに立って、上の方を見ている→侍らしく姿勢のいいゴエ。

檻の柵をやすりで削るときの3人が、またコミカルでかわいい。
ラ・マルセイエーズを歌うルパンと次元。
もちろん、やすりの音を監視カメラが拾わないようにするためのカモフラージュです。
ルパンはこぶしを大きく振りながら、次元はこぶしを固定したまま。このあたりもキャラが出てます。
ゴエは二人の間で肩を組んでいるように見せかけて(着物の袂でカモフラージュ)、せっせとやすり作業。

前述したとおり、本作では「アニメチック」な 演出が散見されるのが、残念です。
他方で、本作では、3人のキャラが立ったしぐさの演出も多く、その点は高く評価したいです。

【ナポレオン11世】
地下牢にはナポレオン11世が収監されていました。
ル次五は、やすり作業を終え、無事に檻から脱出。
ナポレオン11世は、「皇帝陛下と呼びたまえ」と、のたまいます。
そんなおっさん相手に、ルパンと次元はちゃんと敬語を使って慇懃に接します。お茶目な大人だ。
後のシーンで、ゴエがナポレオン11世に話す時は命令口調なんです。
確かに、ゴエは「皇帝」を自称するテロの首領のおっさんには、それなりの対応しかしないだろうなと思います。
一方、ルパンと次元は、「皇帝」を自称するおっさんをおもしろがって、わざと礼儀正しく振舞っています。
このあたりの反応の仕方も、三人のキャラが出ています。

ところで、ナポレオン11世は「眠り病」で 3時間しか起きていられないとのこと。
本家のナポレオン1世が、3時間しか寝なくてすんだというのとは真逆です。(ナポレオン1世の話を出すのは、歴史担当・五右ェ門。)
ルパンが靴に仕込んだラジコンで装甲車を操作して、ICPOの警備網を突破し脱獄します。
ICPO長官「なぜこんなにICPOが襲われなきゃならんのだ」…ご愁傷様です。
ルパンの狙いは、銭形警部とナポレオン11世の交換と、銭形警部の身柄の確保。

【銭形警部の受難】
ナポレオン11世のアジトでは、銭形警部が拘束されています。
釈放しろと言うとっつぁん。
しかし、「ICPOはまぬけな警部と、ナポレオン11世との引き換えを拒んだ」ということで、「用済みは消す」。
銭形警部、ピンチ!のところへ、ルパンからの中継映像が流れてきます。撮影担当は次元。芸達者なガンマンだなあ。
しかも、ルパンは敵のアジトに盗聴器まで仕込んでいるので、会話が成立しちゃっています。盗聴器、どうやって仕込んだんだろう?
銭形「お前に助け出されるくらいなら、わしは死んだほうがましだ。」
と、ダイナマイトを暖炉に放り込んでしまいます。
しかし、それはルパンが仕掛けた盗聴器だったのです…。当然、ダイナマイト(というか、盗聴器)は不発。
銭形「何をやってもドジばかり、わしは死ぬこともできんのか」

今回のとっつぁんは、ドジカタすぎてちょっと気の毒です。
もう少し銭形警部のカッコいい切れ者ぶりも観たいところですが、本作はルパン達に花を持たせて、というところでしょうか。
切れ者警部は、「コンピュータかルパンか」「ルパン一世の秘宝を探せ」「父っつぁんの惚れた女」などでご堪能ください。
本作は、ルパンたちに愛され、慕われる銭形警部を楽しむ回、ということで。

【眠り病】
ナポレオン11世が世界征服を企んだのは、うるさい世の中を静かにしてゆっくり眠るため。
このふざけた話を聞いて、驚くル次五の顔は必見です。
さて、人質交換が行われるベルサイユ宮殿へ向かいます。
ルパンはナポレオン11世に変装、ナポレオン11世はルパンに変装させています。
ルパンの顔で、目を開けたまま鼻提灯をで寝ている絵はシュールすぎ。

【人質交換はベルサイユで】
ルパンごときに助けられるとは、と嫌がるとっつぁん。
…気持ちは分かりますが、警部、ここは身を切らせて骨を断つ覚悟で乗り切ってください。
ナポレオン11世(実はルパンの変装)が、銭形警部とすれ違う時に取引を申し出ます。
「君の手で、ルパンを逮捕しないか。余をこんな目に合わしたルパンに復讐したいのだ」
それに乗った銭形。ナポレオン11世(ルパン)を茂みに突き飛ばします。
ルパンファミリーとテロ集団入り乱れての攻防戦が始まりました。

【銭形警部、ルパンとの愛と闘いの日々】
ルパン達を乗せたヘリが爆破したと思い込み(もちろん、次元と五右ェ門によるダミー演出)、銭形警部は男泣き。
銭形「惜しい男を死なせてしまった。ルパン、生きているなら、もう一度わしと男の勝負をしろ」
とっつぁんの思わぬ本音を聞いて、一瞬驚くルパン(ナポレオン11世に変装しているバージョン)。
銭形「立場が違っても、わしはお前が好きだった」
ルパン(俺も好きよ)とモノローグ。
ルパンと銭形警部の関係を語る上で外せない、屈指の名シーンです。
銭形マーチが流れる中、ルパン音頭にBGMが代わるのがいいですね。

【なんと気持ちのいい連中だろう】
ICPOに無事に帰還した銭形警部は、長官から絶賛の嵐。
どうやら、銭形がナポレオン11世一味を一網打尽にするために、わざと囮として捕まったのだと勘違いしている様子。
というか、ルパンがそう勘違いするように仕組んだんですけどね。
ルパンは銭形警部の身柄を救出するだけでなく、「銭形警部によるテロ集団の逮捕」という花道までセッティングしたのです。
ルパンの死体が見つからなかったと聞いて、「よかった」と思わず言ってしまう警部を、長官が聞きとがめます。
銭形「ルパンと戦うために私は生まれてきた男であります」
そんな長官と警部のやりとりを盗聴しつつドライブする、ル次五の3人。
ルパン「いい気なもんね」
ゴエ「親の心、子知らず」
大団円で大満足の3人。
…「でも、なんか寂しいんだよね」というルパンに、
次元「ちぇっ、また不二子か。男の世界に色恋は禁物だ」…次元らしいマッチョなセリフですね。気持ちは理解できなくもないですが。
ルパン「硬いこと言いっこなしよ」とわざと乱暴にアルファロメオを運転するルパン。
次元と五右ェ門が振り落とされそうになって慌てています。ルパンはそんな二人を面白がっています。
三人を乗せてアルファロメオ・グランスボルトは、夕日の中、海沿いのハイウェイを走り抜けていきました。

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