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五右ェ門メイン回。有名な「斬鉄剣はコンニャクが斬れない」話。
ネタのインパクトだけでなく、メイン五人、特にルパン・次元・五右ェ門の関係性も魅力的に描かれています。

【斬鉄剣で斬れないモノ】
おそらく、ファンの間でも賛否が分かれるであろう「斬鉄剣がコンニャクを斬れない」という設定。
みなさんは、どう思われますか？肯定派 or 否定派？
管理人は肯定派です。
「次元は、帽子がないと銃が命中しない」という設定と同じく、一回きりのお遊び設定として楽しんでいます。
一回きり設定がデフォルトな『ルパン』で、いちいち目くじら立てていても、楽しめないのではないでしょうか。
（この手のインパクトの強いネタがいわゆる「一般視聴者」に浸透してしまい、ゴエや次元を誤解されてしまうのが嫌だという意見もあるかと思います。）

ところで、コンニャク以外にも斬れないモノも、各 シリーズで登場しています。
2nd「名探偵空をゆく」の飛行船のシャッターなんてありふれたものも斬れませんでしたし、
劇場版「vs複製人間」の合金チョッキは、あまりにも有名です。
ダイヤも斬れないって言ったり言わなかったり。
2nd「恐怖のカメレオン人間」ではブリリアント・カットにしているのに、
パースリ「ダイヤに炎は似合わない」では、「ダイヤは斬れない」とゴエ自身が言っています。

【五右ェ門無双】
マフィアのアル・カポネから、シカゴの埠頭に呼びつけられたルパン一味。
しかし、それは罠でした。戦車が襲ってきます。もちろん、ワルサーやマグナムでは歯が立ちません。
そこで、五右ェ門がしんがりを申し出ます。
テーマソング「斬鉄剣」に乗って、まさに五右ェ門無双。
ちゃんと戦車の運転手が逃げられるように斬っています。
このあたり、ゴエの「無益な殺生はせん」（「カリオストロの城」）が表現されています。
「斬鉄剣」は、今聞いても時代を感じない名曲です。大野雄二氏は、本当に偉大です。

【アル・カモネとシャーロック】
アル・カモネ。シカゴのギャング。もちろん、アル・カポネのもじりです。
シャーロック。武器商人。 『 ベニスの商人』のシャイロックと、アルセーヌ・ルパンの永遠のライバル・シャーロック・ホームズを合わせたもじりでしょうか。
武器商人であるシャーロックは、まさに死の商人。「我が社の戦車同士が闘うのだから、誰にも迷惑をかけていない」とうそぶきます。

【不二子ファッション】
本作の不二子はおしゃれです。
前半パートでは、ベージュのトレンチコートにオレンジのタートルネック、ブーツ。リップもオレンジでニットに合わせたコーディネート。
ベーシックなスタイルということもあり、今でも充分通用するファッションです。
後半は、グリーンを基調としたサファリスタイル。ピアスもグリーンでコーディネート。
ちなみに、ホテルでのルパンは最新のパリモードを身にまとっています（毛布にくるまっているだけ）。

【飲まず嫌いはいけません】
不二子の差し入れの洋酒を、「洋酒は薬臭い」と断るゴエ。
ルパンや次元、不二子に薦められ飲んでみると、意外と美味しかったらしく、「もう一杯」。
「どの口が言う」とからかうルパン。
この辺のル次五のやりとりが、まさに長男・次男・末っ子といった感じで微笑ましい。

【女ルパン・峰不二子】
しかし、そのような微笑ましいやりとりの裏には、不二子の策略が…。
不二子の狙いは斬鉄剣。100万ドルで売れるそうです。
しかし、寝てても簡単には斬鉄剣を離そうとはしないゴエ。
なんとかもぎ取った斬鉄剣のダミーに使ったのは箒…。ここがセカンドらしいギャグオチ。
カモネから謝礼を受け取った後も、カモネを尾行し、シャーロックとの取引を監視する不二子。
なかなか油断のならない「女ルパン」ぶりを発揮します。
その後も、経緯を見届けて、シャーロックとカモネを強請ろうとします。
五右ェ門の命より大事な斬鉄剣を盗ってしまいますが、敵の手に落ちることもなく、ルパンたちに尻拭いをさせるわけでもありません。
ル次五三人組と不二子のこれくらいの距離感も、管理人は嫌いではありません。
（もちろん、不二子が三人のために活躍する話も大好きです。
「オイルダラーを狙え」「追いつめられたルパン」「シェークスピアを知ってるかい」などなど）

【五右ェ門の自殺騒動】
斬鉄剣を盗まれて、自殺騒ぎを起す五右ェ門。
この一連の騒ぎが本当に微笑ましく、おすすめのシーンです。
首を吊ろうとして、片手には銃。（ワルサーかマグナム、どっちなんだろう？）
剣がないから、切腹もできません（by五右ェ門「炎の記憶」）
そんな五右ェ門を、必死でとめるルパンと次元。
ルパン「あれは俺が無理に薦めたんだから」
こういうフォローが出来るルパンは、大人だと思います。
ルパンって、本当にゴエを立てるんですね。次元相手だと好き勝手するのに。
ルパンが通報したので、銭形警部がやってきました。
ルパン「とっつぁんのところで、ゆっくり頭冷やしてこい」って、親戚のおじさんに預けるみたいなノリだなあ。

【戦争と斬鉄剣】
火薬庫となっていた中央アフリカ休戦ラインで、リモコン斬鉄剣による破壊行動。
結果、戦争が再開します。もちろん、シャーロックとカモネの仕業。
斬鉄剣が使用されている映像を観た次元「そうと分かれば五右ェ門を迎えにいこうぜ」
あんた達は、刑務所（銭形警部の所）をなんだと思っているんだ。託児所や保養所じゃないんだぞ。

斬鉄剣は人殺しよりも、泥棒か戦争向きだと「二人五右ェ門　斬鉄剣の謎」 の感想で書きました。
ゴエいわく「斬鉄剣で人を斬れば曇りが残る」そうです。
鉄を斬れるような剣ですから、金庫破り用に泥棒か、対戦車用に戦争向きの剣なんですね。

【銭形警部と日本食】
刑務所に拘留されている五右ェ門は絶食中。
そんなゴエを案じて、日本食をわざわざ取り寄せたとっつぁんはいい人です。
1978年のシカゴで日本食を用意するのは、お金も手間もかかったでしょうに。
「お前を死なせるわけにはいかんのだ。わしの立場も考えろ」とは言ってますが、面倒見のよさが伝わってきます。
まさに「親戚のおじさん」になってしまっています…。

【ゴエを回収するルパン】
銭形を軽くいなして、引きずるようにゴエを背負います。
ゴエは絶食中で動けなかったのでしょうか？それともショックで動けない？
なんだか笑いを誘うシーンです。ちゃんと担いであげて。

【刀は武士の魂】
無言で、竹光を自作する五右ェ門。
そんなゴエを案じる次元、「五右ェ門、そんなもので闘えると思っているのか」
次元「俺にはサムライというものはわからん」
刀を持たずには居れないのは、武士の性なのでしょうか。

【リモコン斬鉄剣】
敵の手に渡り、自分に刃を向ける斬鉄剣を複雑な思いで見る五右ェ門。
ルパン「ここに居るのは、本来の持ち主の五右ェ門だぞ」
次元「なんとかしろ五右ェ門」
ゴエ「地上ならともかく、空ではなんともならん」
地上で竹光を持って、リモコン斬鉄剣に挑みます。
そんな五右ェ門を引き止めるルパン。
それでも挑むゴエ。そう、サムライならばここで退くわけにはいかないのです。
援護射撃をするルパンと次元。
もちろん、斬鉄剣は弾丸を弾き返します。
無理なのは分かっているのに、臆せず挑むゴエと、そんなゴエをサポートするルパンと次元。
三人の心意気と友情を感じられるシーンです。
しかし、そんなに甘いものではなく、もちろん竹光はみじん切りに。ほうほうの体で逃げる三人…。

【斬鉄剣とコンニャク】
寝袋で眠るル次五。可愛すぎます。こ のシーンを携帯公式の毎日場面写にしてほしいです。
まんじりとせず、眠れないなか、閃くゴエ。
斬鉄剣の弱点はコンニャクだった！
しかし、コンニャクを斬ろうとよく思ったなあ。何事も修行として取り組むゴエの勝利ですね。
ところで、コンニャク芋ってアフリカにもあるのでしょうか？
調べて見たところ 、 原産地はインドもしくはインドシナだそうです。
コンニャク、と聞いて「おでんのコンニャク」が出てくるルパンと次元は、
フランス人の血を引くアルセーヌ・ルパンの孫とアメリカスラム育ちの西洋かぶれガンマンとは思えないほど、日本文化が身についています。
山田康雄氏と小林清志氏が、井上真樹夫氏と会話をしているみたいです。
そういえば、テレスペ「ヘミングウェイ」で、次元と五右ェ門は「念仏坂のおでん屋」に行ったと言ってましたっけ。
意外と次元は和食もいけるのかもしれません。それとも、和食派の相棒に合わせているのかもしれませんね。

【コンニャクおでん車づくりinアフリカ】
ルパン三世のテーマのアレンジのって、作業をするル次五の三人組。
リーダーは、なぜかコンニャクづくりに詳しい世界一のガンマン・次元大介氏。
このシーンが楽しくって大好きです。
コンニャク芋掘り、芋の皮向き、芋をつぶし、鍋で煮ます。そうやって完成したコンニャクをヘリに塗装。コンニャクおでん車の出来上がり。
BGMはなんというアレンジなんでしょう。わくわくする曲です。
夜が明けて空が白み始めるころ、作業も無事終了し、気持ちよさそうに眠る三人は、遊び疲れた子どものよう。

【コンニャクおでん車 vs リモコン斬鉄剣】
コンニャクに刃をとられ、リモコン斬鉄剣は操作不能に。
このとぼけた展開はまさにセカンドのノリですね。
不二子にもお仕置き。ゴエに生コンニャクを口に押し込められます。この程度で許すなんて、みんな優しいなあ。

【五右ェ門の復讐】
シャーロックが乗る自動車ごと斬る五右ェ門。その後、静かにハイウェイを去ります。
シリアスなラストは、今までのふざけた展開とのギャップが際立ちます。
やられっぱなしではなく、最後には自分でケリをつける五右ェ門。
五右ェ門は無益な殺生はしない人。木を斬っても、その木に止まっていた蝶は斬らない腕前と優しい心根を持つ侍です。
そんな五右ェ門にとって、愛刀を大量殺戮＝戦争のきっかけに使い、自分の欲のために罪のない人々の命を奪ったシャーロックは許せなかったのでしょう。