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STORY 47

  女王陛下のズッコケ警部

更新日:2008年8月16日


冒頭のルパン・次元・五右ェ門のやりとりは必見です。コミカルで、 視聴していて楽しくなる一作。

【名(迷)刑事モノ】
これは「名(迷?)刑事モノ」とでも言えばいいのでしょうか。
セカンドの他作品だと、半七刑事、マクリード警部、コナイゾー警部など、銭形警部以外の捜査官とルパンとの対決を描いた一作です。
セカンド版の刑事メロンも、このカテゴリーに入るかもしれません。
この対決する捜査官が、みな一癖も二癖もある個性豊かな人物。
通常の銭形警部との対決とは一味違ったルパン逮捕劇と、その包囲網をかいくぐるルパン一味をお楽しみください。

【今、俺が何考えてっか分かるか?】
冒頭。ロンドン・トラファルガー広場。
穏やかに過ごすルパン・次元・五右ェ門トリオ。幸せそうで見ていて楽しくなる名シーン。
次元と五右ェ門は、噴水周りに集まった鳩に餌をやっています。
しかもゴエは肩や斬鉄剣に鳩を乗せており、随分と鳩になつかれている様子。
ゴエは自然先生@「五右ェ門の復讐・アニメ版」の教えどおり、自然関係ともなじみがいいのでしょう。
ルパンは新聞を読んでいます。
あうんの呼吸で、ルパンが言おうとしていることを奪っていく次元&ゴエ。
会話のテンポもよく、山田氏・小林氏・井上氏の呼吸の良さも注目です。

ルパン「今朝の新聞読んだか?」
次元「そうくると思ってた。メアリー王女が結婚式でかぶる王冠だろ」
ルパン「それそれ、その王冠とは」
ゴエ「インペリアル・ステート・クラウン。ヴィクトリア女王も戴冠式で使ったもので、英国の象徴とも言われている」
ルパン「そこまでわかってんなら」
次元「早速、展示されているロンドン塔へ見学に行こうってか」
ルパン「まったく付き合いが長いってのは考えものだよなあ。こっちの言うことがなくなっちゃうんだから」

この三人のやりとりが大好きです。
ルパンの考えや次に狙うであろう獲物を、ちゃんと把握している次元と五右ェ門。
そして、ぼやきつつも、そんな二人にまんざらでもないルパン。
この三人組、上手くいっているんだろうなあと思わせてくれるシーンです。
盗みや決闘の時の大活躍と、ほのぼのしたやりとりとのギャップがとても魅力的に映ります。
そして早速、ロンドン塔に王冠を見学に行くル次五。
王冠を目にしたルパンが「不二子ちゃんがかぶると似合うだろうな」とデレデレしていると、
次元と五右ェ門が「ルパン!!」と、たしなめるかのように肘鉄を食らわします。このやりとりも可愛い。

【銭形警部逮捕される】
公園のポイ捨てと小火騒ぎ。この濡れ衣で銭形が逮捕されてしまいます。
銭形を逮捕・連行したのはペッパー警部とドーバー警部。
1日くらいの拘留ですみそうだという話だったのですが、銭形警部が「ルパン」の名を出した途端、拘留が3~4日に延びてしまいます。
ペッパー&ドーバーが、ルパン逮捕の名誉と懸賞金に目がくらみ、自分達の手でルパンを逮捕しようとしたためです。
ルパン逮捕のエキスパートである銭形警部を拘留しておこうという魂胆なわけですね。
この手の「銭形以外の捜査官がルパンと対決する話」では、銭形警部の扱いをどうするかが一番の課題。
銭形警部が無能に描かれてしまうことも、しばしばあります。
本作では「銭形警部がルパン逮捕の専門家だからこそ、自分達が活躍するためにペッパーとドーバーが銭形を拘留する」という筋立てになっています。
つまり「警部が有能だからこそ、その能力を恐れられ、活躍させてもらえない」という設定になっているわけです。上手いやり方だと思います。
昨今のテレスペでは、銭形の扱いに苦慮している作品が何作か存在していますが、このあたりを見習って欲しいものです。

【ルパン三世の懸賞金】
ちなみに、ルパン手配書には100万ドルの懸賞金が記載されています。
1978年は1$180円~200円。ということは、当時で1億8千万から2億くらいの懸賞金だったのか。
2008年の貨幣価値に換算すると、さらに5倍~6倍になるので、9億~12億くらいかな。(詳しい方に検算をお願いしたいです。)
あと、この手配書の写真が、まるで映画スターのポスターのようなルパンの立ち姿なのは、突っ込みどころなのでしょうか。

【ペッパー警部】
もちろん、あの有名なピンクレディーのデビュー曲「ペッパー警部」(1976年8月25日)から。
時代の流行を作品世界に取り入れるセカンドシリーズでは、BGMにピンクレディーの曲を何度か使用してもいます。
有名どころでは、 第74話「恐怖のカメレオン人間」で使用された「カメレオン・アーミー」(1978年12月5日)。
「ウォンテッド」(1977年9月5日)も 、ワンフレーズだけ使用されています。
(多分、「ルパンの敵はルパン」だったと思うのですが…。ちょっと自信が無いです。すみません)

【ドーバー警部】
ジョイス・ポーター(イギリス)の史上最低の迷探偵・ド ーヴァー警部のパロディ。
ドーヴァー警部は、身長190センチ、体重100キロ以上というでビヤ樽のような巨漢で他人のおごりが大好き。
年中胃が痛いとブツブツ言って、仕事もサボりっぱなしのどうしようもない警部です。
本作のドーバー警部も、巨漢で、しかも食い意地がはっており、職務中でも毎日12時には「やせ薬」を服用することを優先しています。

【ルパンと不二子】
ホテルのルパンの部屋で、不二子とのデートをひかえ、一人妄想の世界に盛り上がっているルパンに、あきれる次元とゴエ。
ルパンと不二子のデートは、高級フランス料理店でお食事。やっぱりリッチなんですね。
途中、ペッパー&ドーバーに見つかり、追いかけられるというハプニングがあったものの、ウォータールーブリッジ(映画『哀愁』の舞台)で良いムード。
ルパンは不二子に、王冠をプレゼントする約束をしています。もちろん、大喜びの不二子。
キスしようとするところに、「時間だよ」と次元の無粋な一言と、ルパンと不二子の間を斬鉄剣で邪魔をする五右ェ門。
本作は、次元とゴエは不二子にデレデレするルパンを快く思っていない様子。
二人にはもう少し鷹揚であって欲しいとも思いますが、自分達の上前をはねては裏切りを繰り返す不二子に不信感があるのは仕方ないかな…。
こんなルパン・不二子・次元・五右ェ門の関係も悪くはないかなあと思います。

【ルパン逮捕ロンドン塔作戦】
王冠が展示されているロンドン塔に忍び込むルパン&次元。ゴエはアルファロメオで待機。
ルパン潜入を見越して、包囲網を敷くべくロンドン塔にやってきたペッパー&ドーバー。
ここで、カラスに怯えるペッパー。彼は怖がりだということが判明します。
ルパンと次元はいたずらを仕掛けて、さらにペッパーを怖がらせます。
ドーバーいわく「ここにはカラスが六羽住みついている」とのこと。
ロンドン塔で、「レイヴン・マスター」といわれる王国衛士によって、カラスが飼育されていることは有名なお話。
(六羽、という数ではないそうですが…)
イギリスでは、チャールズ2世(在位:1660年5月29日~1685年2月6日)の時代以降、カラスはロンドンの守護鳥とされています。
詳しくはコチラ。
さて、警戒中の展示室へ。
ペッパー「もうお前達の中に、ルパンが化けているかもしれん」ギクリ、とする警官に変装中のルパン。
ドーバーは、飾りの甲冑を「怪しい」と、叩きます。…どうやら、中には次元がいる様子。
銭形警部が来ると聞いて、何かひらめくルパン。
銭形警部に変装をし、ペッパーとドーバーを追い払おうとする算段でした・・・が。
実は罠。銭形はペッパー&ドーバーの策略により拘留中。ルパンの変装を見破ります。
このズッコケ警部二人、なかなかのやり手ですね。ひとまず退散するしかないルパン達でした。

【さて、どうするか】
ホテルにて。不二子「しくじった?あんたも腕が落ちたもんね」とお怒りでお帰りになってしまいました。
そんな不二子の様子を見て、次元とゴエは、ルパンが不二子に王冠をプレゼントする約束をしたらしいことを察し、これまたお怒りに。
ルパン「二人ともそんなおっかない顔しちゃって。似合わないよ、色男に」と、とりなします。
もちろん、一度くらいの失敗で諦めるような、われらがルパン三世ではありません。
ペッパー&ドーバーには、「メアリー王女の結婚式で王冠を盗んでみせる」と予告状を出します。
しかし、なぜイギリス警察に日本語での予告状なんだろう…。
パースリになると、海外では英語の予告状になるんですが、セカンドではあくまで日本語表記で徹します。

【おむすびとウエストミンスター寺院】
ウエストミンスター寺院の前。日本人の老人に変装したルパンは、おむすびをエサに巨漢のドーバー警部を釣ろうとします。
ところで、このおむすび、五右ェ門手製なんでしょうか。
それとも、ゴエ持参のお米で、ルパンがおむすびをにぎったのかなあ。ルパンならおむすびくらいにぎれるでしょうし。
1978年イギリスで、お米って貴重品でしょうに。もしゴエ持参のお米だったら、なんと言って譲ってもらったのかを想像するのも楽しいです。
「バラとピストル」など観ていると、海外での日本食に対するゴエのこだわりは、なかなかすごいものがありますからね・・・。
閑話休題。
ドーバーがビッグペンの12時の鐘に合わせて、やせ薬「ヤセール」(そのまんますぎる薬品名)を飲む習慣をチェックします。
そして、おむすびの恩義を上手く利用し、王女の結婚式を控え特別警戒中の寺院を見学することに成功。
ドーバーの隙を見ながら、時限装置を設置して周ります。
このシーンで流れるブリティッシュ・カントリー調のBGMが、雰囲気が出て良いですね。大野さんの作曲なんでしょうか。

【ヴィクトリア女王の王冠は誰のもの】
いよいよ、メアリー王女とボンド卿の結婚式当日。
次元のライフル射撃で、ビッグベンの針を動かし12時の鐘を鳴らします。これで、ドーバーに席をはずさせることに成功。
時限装置が作動し、煙幕と幽霊のホログラフで、怖がりのペッパーを足止め。
そこを、釣竿で、王女の王冠を奪取するルパン。…しかし、ルパン釣竿好きなんだなあ。失敗しても使い続けます(「追いつめられたルパン」)。
ゴエが殿を申し出て、ルパンを逃がします。
まさに、三人のコンビプレーが見事に調和していて、視聴していて小気味いいです。
ところが、タワーブリッジをはねあげられ、河にチャポンと落ちてしまうルパン。そこに、不二子がヘリで救出に登場。
ルパン「やっぱり、俺のこと心配してんだよな」。しかし、心配しているのはルパンではなく、王冠だった様子で…。
ルパンがくしゃみをしてしまい、はずみで王冠が落下…。
「不二子ちゃん、ごめん、おっこっちゃった」というルパンは、悪びれもせず、もったいながりもせず、あくまでもマイペース。
ルパンにとって、大切なことは「お宝を盗み出すこと」そのもの。
「盗み」を楽しみ、成功させてしまえば、もはやお宝に執着しないルパンが、管理人は大好きです。
しかし、不二子はお怒りで「ルパンの馬鹿。顔も見たくないわ」と、ルパンを落としてしまいます…。
パラシュートを使ったものの、古城の尖塔に引っかかってしまったルパン「あいつら、いつまでこんな所にほっとくの」
「あいつら」とは、もちろん次元と五右ェ門。
そんなルパンを望遠鏡で覗き込む次元「不二子にのぼせた頭も、これで冷めるだろう」
「うむ」と答えるゴエの斬鉄剣には、なんと王冠が引っかかっています。
ちゃーんとお宝を回収している、頼りになる相棒二人。
もしかすると、お宝を落としたルパンが余裕綽々だった理由は、二人が上手く回収しているだろうと思っていたためかもしれませんね。

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