[STORY] 84
 復讐はルパンにまかせろ

更新日:2008年5月30日

放映日:79年5月21日
脚本:高階秋成
絵コンテ:奥田誠二
演出:御厨恭輔
作画監督:北原健雄、児玉兼嗣

本作の隠れたおすすめポイントは、ル パンのコミカルなしぐさの数々。

【ルパン三世の相棒・次元大介】
タイトルからは分かりにくいですが、次元もメイン扱いの回。
パースリ「ルパンが戦車でやってきた」、テレスペ「ルパン暗殺指令」も、サブタイトルに「ルパン」が入っていますが、どちらも次元メイン回。
次元メイン回なのに、「次元」ではなく「ルパン」がサブタイトルに入っているということが、ルパンと次元の関係を表していると思います。
次元は、ルパンの相棒であることがアイデンティティになっていますからね。
もう一人のルパンの相棒・五右ェ門は、愛刀「斬鉄剣」がサブタイトルに入っていることが多いです。
このあたりにも、次元と五右ェ門のキャラ立ちの違いがうかがえます。

【ルパンと次元の就寝スタイル】
深夜、皆が寝静まったルパンアジトに、スペードのジョーから電話がかかってきます。
次元、ソファで毛布もかけずに寝ています。風邪ひくよ。
ルパンはしましまパジャマを着用。ハートのワンポイント付まくらを抱えています。
寝ぼけているルパンをそのまま車に乗せて、ジョーの待つマルセイユまで行くルパンと次元。
このシーンでのルパンと次元のやりとりも、とぼけていて楽しくなります。

【ルパンは殺し屋が大嫌い】
「一人では手に負えそうにない」という次元に、
ルパン「血を見るのが大好きな殺し屋とタコは大嫌いなんだ」
ルパンは殺しは嫌います。
原作では「殺しの腕も超一流」という設定です。
しかし、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンの孫である大泥棒にとっては、
人を傷つけることなく、いかにスマートにお宝を盗むかということが、大事なのではないでしょうか。
2nd以降のルパンは、「不殺の人」としてキャラクターが作られていきましたが、これは正解だと思います。
(もちろん、自分の命を狙う殺し屋は返り討ちにあわせます。2nd「ルパンは2度死ぬ」「射殺命令」などなど)
これは声優の山田康雄さんの意向でもあったようですね。
山田氏は戦争を体験している世代ですので、「殺し」を「カッコいい」と勘違いなさるとは思えません。
「殺し」を「カッコいい」と勘違いするのは、平和ボケした世代に多いのではないでしょうか。

【マリア】
マリア、いい女だと思ったんですけどねえ。
バーの女主人が、殺し屋相手に機関銃で応戦するなんて、なかなか出来ることではありません。
次元がマリアに修理代渡すシーンは、次元がかっこよくて好きです。
ところで、ジョーはマリアのことをどう思っていたんでしょう。
ほっぺにキスされたら嫌がっていましたし。
次元をだますために、一役買ってくれればそれでいいってことなんでしょうか。

【スペードのジョー】
次元に銃を教えてくれた先輩。50年代のスーパースターにして、世界一の殺し屋。
息子はハーバード出のNASAの科学者なんて、インテリエリートの息子なんですね。
そんな機械を作れる息子がいるなら生活に困らないでしょうに。
冒頭のジョーが襲われるシーンはなんだったんでしょう。おそらくやらせ?

【伏線】
ジョーを狙うマシンガン連射から逃げる次元の動きがいいですね。
帽子を押さえるしぐさや手足の動きに、次元らしさが感じられます。
そこへ、ルパンが助けに登場。
次元「俺の友達のルパンだ」…友達っていう言い方が可愛いなあ。
ルパン「どうも」と、ルパンにしては珍しく愛想がないのは、殺し屋嫌いだからでしょう。
次元が、「襲ってきた連中はどこからマシンガンを出したんだろう」というのに対して
ジョー「電話のそばに隠してだんだろ」と答えます。
このとき、少し不審そうな次元。このやりとりが伏線になります。

【次元の回想とジョーの裏切り】
手元がおぼつかなく、弾をリボルバーにこめることもできないジョー。
次元は、在りし日のジョーの腕前を思い出します。
回想に登場する若き次元は、ひげなしのハンチング。
もの悲しい音楽が、全盛期のスペードのジョーの凄みと、今老いたジョーとのギャップを際立たせます…。
と思いきや、時限爆弾をルパンの車に設置している部下らしき男にボスと言われています!
白髪のかつらまでつけて、同情心を誘って殺そうとするなんて卑怯すぎ。
次元は腕を怪我しちゃったじゃないですか。ル次ともに命の別状がなくて良かったですけど。
ルパン「だから俺は殺し屋ってやつが大嫌いなんだ」「俺が代わりに仇を討ってやる、まかせておけ」
やっぱりルパンは、仲間思いのいいやつです!

【美麗なお宝の名前】
「プエトリア・アムール」を不二子とゴエが下見に。
せめて変装しなさいよ。特に五右ェ門、パリで和装は目立ちまくりだと思います…。
銭形警部が二人に見せる逮捕状ですが、「たいほ」がひらがなで書かれていて、なんだか可愛らしい。
後で登場する、ルパンが盗んだことになっている「モーム家のバラ」。
次にジョーが狙う、「月影のオッペンハイム」。
どのお宝の名前も美麗で、ちょっと70年代の香りがして、素敵ですね。

【転送装置】
プエトリアアムールを見張る銭形。警備員に扮したジョーの部下がコーヒーににもった睡眠薬で寝ちゃいました。
非常ベルを鳴らさないために転送装置を使ったんですね。
しかし、装置をお宝のあるところまで運ぶのが大変なんじゃないでしょうか。
「あんなのを使われたんじゃ、こっちは商売あがったりよ」という不二子。
そうかなあ、使い勝手が悪そうですけど。
ゴエ「拙者が今、アレを斬ろう」
ルパン「やっぱ、次元の敵討ちは思いいれたっぷりでいかなくちゃ」
そうそう、それに、今斬ったら、話がここで終わっちゃいます。

【ルパンにまかせろ】
やっぱり、ジョーの手下がオッペンハイム家に。
転送装置で、ジョーがいるNYに行こうとするルパン。
ゴエ「こんなもので人間が送れるとおもってるのか」
ルパン「本気だよ」
ちょっとつまってます。ゴエに真っ正直に正論を言われると、ルパンってつまるんですよね。
不二子「人間と宝石はちがうわ」
ルパン「おーなじだよー」
ルパンらしいやりとり。
いいかげんとも言えるし、人も原子の集合体に過ぎないという達観とも言えます(神そのものとも言える思考をする男byマモー)。

ルパンは次元に「俺が行ってから10分後に来い」と言います。
しかし、次元は自分ではなくダイナマイトを送りました。
…ということは、やっぱり次元、嫌だったのかなあ。そりゃそうですよね。
健全で常識的な判断だと思います。ゴエや不二子も反対しただろうし。

Yルにも転送装置が出てきます。(Yル「エレクトロニック・ゲ ート」)
このときは不二子のためでした。そして、次元とゴエに大反対されていました。

【転送されるルパン】
転送されてるルパンがかわいい。平べったくなっています。効果音にインベーダー音を使用。
転送後、ボーっとしているのは、原子に分解されて再び統合されたショックなんでしょうか。
コミカルな動きで我に返るルパン。ほっぺを自分で叩いたり、あちこちひっぱったり。
「あー、ジョー!ということは、俺は無事にNYに着いたんだ!」と大喜びのルパン。
天真爛漫な様子から一変、「さあ、宝石を返してもらおうか」とカッコつける、このギャップがたまりません。

【世代交代と若造としてのルパン】
ジョー「男はもみあげに白いものがまじったら決めなきゃならないんだよ」
セカンド・ルパンはまだ若造なんですね。
自分達より上の世代から、恐れられ、排除されそうになる立ち位置です。
いつから、若者の背を押す役になったんだろう。
クラリスくらいの思春期の少女に「おじさま」呼びされるのはまだ分かりますが、
20台後半の青年に対しても「おじさん」役割を担わされるのは、ちょっと違うんじゃないか
なあと思います(OVA「GREEN vs RED」、Mル「 FREE! AS THE WIND AND THE EAGLE」)。

次元の送ったダイナマイトで大爆発。
ジョーは大怪我を負うか、死亡したでしょう。
次元の復讐は終わりました。

【結局、宝石は…】
宝石回収をする銭形。噛んだり、擦ったりしてかわいい動きです。
電話口でいらいらしているルパンの表情もかわいい。
復讐は完遂しましたが、お宝に関しては骨折り損のくたびれもうけオチ。
しかし、ルパン一味の凄さと結束力を知らしめることができた一件だったのではないでしょうか。

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