[STORY] 24
 聞け!モリアーティ賛歌

更新日:2008年3月22日

放映日:85年5月6日
監督:御厨恭輔
脚本:伊東恒久
絵コンテ:小華和ためお
演出:棚沢隆
作画監督:小林一幸

子ども時代に見ていて、最も鮮明に記憶に残っていた話で、思 い入れが大きい一作です。
軍艦マーチのメロディにのせた「モリアーティ賛歌」がインパクト大。大塚周夫さんの歌声に酔いしれてください。
これは原作ネタはなし。
管理人が気づいた限り、原作をイメージさせるシーンやセリフもありません。
そもそも原作では、ビッグ・ベンに絡んだ事件はありませんでした。

【どうやって教授は鐘を盗んだのか?】
推理小説でいうところの「ハウダニット」方式。
冒頭に登場するハンドル式昇降機と、現場に残された大量の牛乳瓶のトリック。(というほどではないんですが。)
ちなみにビックベンについてはこちらをご参考ください。 クリックすると、wikipedeiaに飛びます。

【インゲン豆】
教授がアジトで召し上がっていたお食事は、形状からおそらくインゲン豆だと思います。
イギリス庶民の食卓には欠かせない食材。
インゲン豆とベーコン、卵あたりが、典型的イギリス式朝食でしょうか。
イギリスが生んだミステリの女王・クリスティの小説にも、よく登場します。
管理人は子どものころの刷り込み故か、豆はインゲン豆が一番好きです。
ちなみに、「ルパン三世」の次元が好きな「ベーコン豆」の豆は、グリーンピースなのでしょうか?

【教授を挑発するホームズ】
ホームズ、さすがに教授のこと分かってるなあ。
もちろん、教授はお怒りです。
しかし、トッド&スマイリーは、教授の誇りより報酬が大事でした。(仕方なしかも)

【教授、下請けだったの?】
大会社社長・エイムズ氏の依頼。(さらにエイムズ氏はインドの殿下の依頼)
鐘の音が鳴って、犬っぽく、耳をピンと立てるシーンが可愛いです。
たまに、キャラが耳を立てますよね。擬人化しつつも、少しだけ犬らしい演出です。

【広川太一郎・ホームズ語録】
広川さん独特のセリフまわしがいいです。
「おおよその見当ってものはね」
「あの先生、プライドってものは高いですから」
「どういったらことですか」
「なんと言っても、ビック・ベンは大英帝国の誇りですからして」

【ミルク業者】
舌がすごい!これぞプロ!牧草地まで分かるのか。

【モリアーティ・ブランド】
…と言いたくなるラインナップ。
ダミーに登場した立体バルーン。
モリアーティ・マーク入りのレコード。
そして、そのレコードから流れる「モリアーティ賛歌」。
大塚さんもノリノリで楽しそう。ついつられて、歌っちゃいそうになります。
ロンドン全土にこの曲が流れたのか…。
教授の名誉は回復しましたね。レストレイド警部の名誉は地に落ちましたが。

【ラストはいつものドタバタ追走劇】
お約束すぎるとも言えますが、教授を追いかける警部、その後につながる警官隊は可愛いです。
今回は、どんなオチになるかを見るのも楽しみの一つ。

【Great Britain 大英帝国】
ホームズ物語の舞台は19世紀末〜20世紀初頭のイギリス、ロンドン。大英帝国花盛り。
「 帝国に日の沈むところなし」とも言われました。
↑の意味が分からない方は、リンク先をクリックしてください。wikipedeiaに飛びます。

本作は、大英帝国を意識させるつくりになっています。
第11話「狙われた巨大貯金箱」は、大英帝国繁栄期における、イギリス国内の暗部を描いていましたが、
本作では、「世界に冠たる大英帝国」を描いているようです。

【インドとイギリス】
エイムズ商会はインド相手の貿易商。
このあたりも大英帝国期イギリスを意識させます。
しかし、当時は、インドはイギリスの植民地だったので、対等な貿易相手という感じではなかったんですけどね。イギリスは、搾取する方ですから。
興味のある方は、「インドとイギリス」(吉岡昭彦/1975年/岩波新書)を読んでみてください。
絶版ですが、たいていの図書館にはあるはずです。
古いテキストですが、インドとイギリスの歴史を知る基本文献です。
他に、帝国期のインドとイギリスの関係をモチーフに使用した話は、第26話「さよならホームズ!最後の事件」があります。


【参考文献】
「インドとイギリス」吉岡昭彦/岩波新書/1975年(絶版)
「路地裏の大英帝国 イギリス都市生活史」角山栄・川北稔編集/平凡社/2001年(絶版)
「シャーロック・ホームズ家の料理読本」ファニー・クラドック/成田篤彦訳/晶文社/1981年(絶版)
「イギリスはおいしい」 林望/文春文庫/1995年

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