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  まんだらけZENBUルパン三世特集/北原健雄インタビュー

更新日:2008年3月15日


『まんだらけZENBU No.5「ルパン三世」特集』

セカンドシリーズ全155話の総作画監督を担当された北原健雄氏のインタビューです。
『ルパン』と言えば、北原氏の『ルパン』が思い浮かぶ方も多いでしょう。
にもかかわらず、大塚康生氏、宮崎駿氏、他の『ルパン』製作陣と比べても、
あまり表舞台に出て来られない印象があります。
また、ルパンファンの間で話題にあがることも少ない印象です。(これは管理人の勉強不足のためかもしれません。)
インタビューを拝読させていただくと、北原氏のプロ意識と、穏やかで謙虚なお人柄が感じられます。

貴重なお話を語っていただいた北原氏、
および、貴重なインタビュー記事を掲載された「まんだらけZENBU」スタッフに感謝の意を表します。

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【但し書き】
インタビューの中で、管理人が気づいた点、参考になった点だけを引用し、感想をつけさせていただいております。
引用部分は、全て原文ママで記載しております。
引用文は白で太字、管理人の感想は緑字となっております。
著作権の問題もありますので、全文掲載をする予定はありません。
もし、インタビュー全文をお読みになりたい方がいらっしゃいましたら、古書店もしくは国会図書館などでお探しになってください。
ちなみに、管理人は古書で購入。800円でした。

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  記事内容


北原氏「それとね、大塚さんのとは路線が違ったんですよ。
私の場合は、ファミリー向けの“ズッコケ・ルパン”なんですよね。
だから、五ェ門も次元も、本来なら出なくていいところでも、常に五人出すという路線だったんですよ。
僕なんか、最初の頃は、企画やシナリオ会議では、かなり反発したんです。
「なんで、こんなとこに五ェ門出すの」ってね。だって、せっかくカッコいい五ェ門なのに、
いつもなんか金魚のフンみたいにくっついているのは嫌だなーなんて、言ってたんですよ。
やっぱり“大塚ルパン”では、そういうことは絶対にないですからね。」

北原氏には、パ イロットフィルム版に対する強い憧れがあったとのこと。
そのために、このようなご意見をお持ちになるのでしょう。
1ファンとしては、カッコいい五ェ門だからこそ、「金魚のフン」なところとのギャップが愛嬌があって魅力的と映ります。
銭形警部も次元とゴエのことを「金魚のフンみたいに」と言っているではないですか(原作「一人180役」セカンド「クラシック泥棒と九官鳥」)
それに、理由がなくても一緒にいるのが仲間なんだと思っています。

(インタビュアー)今の子供達とか若い世代は、ルパンというと“ 北原ルパン”なんですよ。赤いジャケットでね。
北原氏「あー、ありがたいですね(笑い)。でも、私には全然、声掛かってこないですよ(笑い)。」
(インタビュアー)声、掛かってこないんですか。
北原氏「声、掛かってこない。まあ、若い人にもやらしてみたいっちゅう、ところもあるんじゃないですか。
まあ、私も随分批判されたこともありましたね。“大塚ルパン”と違うってんでね。」
北原氏「それと、五ェ門と不二子ちゃんの声優さんにも、前作と変わったもんだから、
その声優さんたちにも随分、批判の葉書なり手紙なりきたんですよね。
でも、そのうちだんだん視聴率が良くなっていって。
何本か続けてるうちに、まあ、“北原ルパン”として認知されてくると、だんだん視聴率も20%越え、25%越えしだしましてね」

このインタビューが1999年10月に行われたもの。
テレスペでは、「愛のダ・カーポ」が放送された後ですね。前年のテレスペは「炎の記憶」。
この時点で、北原さんにお声が掛かっていない、というのは正直驚きでした。
これ以降、何か動きがあったんでしょうか?
「大塚ルパン」と比較されて批判されたそうですが(今でも批判されている?)、視聴率や認知度が支えになったのでしょう。
井上真樹夫氏、増山江威子氏に対する批判もあったんですね。
今では、お二人の代わりを見つけ出すのは難しいくらいになっているのに。

北原氏「こんな(背丈ぐらい)に原画が、積まれていましたからね。」

管理人は、アニメ製作の現場というのが分からない門外漢なのですが、大変な状況だというのは分かります。
また、北原氏は各方面から持ち込まれる企画商品の絵も描かなければならず、本当に多忙だったそうです。
このようなスタッフの激務が、セカンドシリーズ全155話を支えていたのですね。

北原氏「まあ、“大塚ルパン”はどっちかというと中学生の高学年から、 高校、大学生が、好んだ作品だと思うんです。
でも、私がやったのは、さっき言ったように、ファミリー路線でしたから」

このご意見、すごく納得できます。
ファーストシリーズとセカンドシリーズの根本的な違いを分かりやすく表現されていると思います。

ファーストシリーズは、先進的というか前衛的なんです。
先進的である、ということは、時代を経てしまうと、古びてしまうというわけで…。
若くていきがりたくて、「死」、「暴力」、「セックス」という反社会的(とされているもの(1971年当時))なものに惹かれるタイプに受ける作品というか。

一方で、セカンドシリーズは、普遍的であると言えます。
どの時代、どの世代にも受け入れられる。言い換えれば大衆的でもある。
ただし、セカンドシリーズに関しては、洒落た大野音楽、声優陣の演技力、絵コンテのセンス、粋なセリフ(脚本)で、作品が洗練されたのでしょう。
作画に関しても、宮崎氏、大塚氏よりも、北原氏の作画の方が、若々しくておしゃれで「ルパン三世」に合っていると管理人は思います。

それに、ファースト当時、「かっこをつけることが、かっこいい」時代だったのでしょうが、
(伝聞調になるのは、管理人がまだ生まれていない時代だからです)
時代経るに伴い、「かっこつけ=ダサい。」という認識が生まれるようになってきます。
むしろ、「普段はギャグだけど、いざとなると頼りになる。能ある鷹は爪を隠すヒーローがかっこいい」という風潮が強くなってきます。
そういう意味では、セカンド・ルパン(北原ルパン)は時代を先取りしていたのかもしれません。
ひょっとして、セカンド・ルパンが、そのようなヒーロー像を作り上げだしたのかもしれません。(←管理人としてはこの説を押したいです)
このあたりも、セカンドシリーズが時代を超えて愛されている理由なのではないでしょうか。

(インタビュアー)あの、「さらば愛しきルパンよ」とか、どんなお気持ちでしたか。今までのはニセ者です、とかって、なんかちょっと…。
北原氏「無神経だなと思って、実を言うとムッとしてたんですけどね。
ホントはキャラクターも直そうかと思ったけども、もう疲れきっているもんだから、それでいいと思ってね、通したんです。」
(インタビュアー)一応テロップには、『死の翼アルバトロス』と『さらば愛しきルパンよ』にも、作画監督でお名前入っていますけども、
治されなかったんですか。
北原氏「もう全然手をつけなかった。もう好きにやってちょうだいって」

管理人が一番読みたかったものは最終回に対するご意見でした。
セカンドファンなら当然でしょう。
インタビュアーは、さすがによく分かっている。
1ファンの管理人としては、「やっぱりそうだったんだ。そりゃそうですよね」としか言えません。
セカンドファンとしては、あの最終回だけはなんとかして欲しかったんですが、事情もあったのでしょうし。
「さらば」も作品それ自体としては、管理人は好きな作品です。動きのよさ、背景の描きこみは見事です。
ラストの自動車のシーンは、見ていてぐっと来るものがあります。

結果として、多くのセカンドシリーズファンが
「あの最終回はなかったことに」
「『ヘキサゴン』がセカンドの最終回だよ。『さらば』は宮崎氏のPV」
という意見に集約していったので、『ルパン』作品としての答えは出てしまっているのではないかと、管理人は考えています。

北原氏「あの人たちは、ホントにうらやましいぐらいの作り方をしますからね。
あれにはホント、頭が下がります。それを許されるほどの力がね(笑い)」

北原氏の宮崎氏に対してのコメント。宮 崎氏にプロとして敬意を表する北原氏。

北原氏「シリーズのキャラクター表は全部家に持って帰ってたんです。
ですが、この前、東京ムービーに寄付しました。管理がうまくいってるみたいだから」

これ、見たいです。公開してほしいです。タ ダは駄目なら出版してください。トムスさん。

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